今回のニュースのポイント
日本国債を活用したデジタル担保実証を開始:みずほフィナンシャルグループ、野村ホールディングス、日本証券クリアリング機構(JSCC)、Digital Asset Holdings(DA社)の4社は、ブロックチェーン技術を活用した担保管理の高度化に関する実証実験を共同で開始しました。
「24時間365日・リアルタイム」の取引検証:機関投資家向け金融に特化したブロックチェーン「Canton Network」を活用。既存システムと連携し、発行済み有価証券としての法的性質を維持したまま、常時稼働かつリアルタイムな担保取引の実現可能性を確認します。
国内外のクロスボーダー取引を想定:国内外の関係者による取引を対象とし、清算機関や機関投資家、顧客と代理人間など様々な主体間での担保授受を検証します。金融庁の「決済高度化プロジェクト(PIP)」の支援を受けた取り組みの一環です。
事務コスト削減と国際競争力の強化:担保の差入や差替にかかる事務を大幅に削減することで、業務効率化とコスト削減を目指します。デジタル領域での日本国債(JGB)の流動性を高め、本邦金融市場の国際競争力を強化する狙いです。
金融市場の基盤である担保の仕組みが、大きな転換点を迎えようとしています。みずほフィナンシャルグループや野村ホールディングスら4社が開始した、日本国債(JGB)を活用したデジタル担保管理の実証実験は、従来の「平日・日中のオペレーション」に縛られていた金融インフラを、デジタル時代の常識へとアップデートする試みです。
今回の実証では、社債、株式等の振替法に基づき権利移転が行われる日本国債を対象としています。機関投資家向けブロックチェーン「Canton Network」を用い、複数の口座管理機関を跨ぐ階層構造の下で、権利移転や振替口座簿の更新が支障なく遂行できるかを法的・実務的観点から検証します。最大の特徴は、既存システムとブロックチェーンを連携させることで、有価証券としての法的性質を保ったまま「24時間365日、リアルタイム」の担保取引を実現できるか検証する点にあります。
背景には、世界的なデジタルアセット活用の加速と、適格担保資産として高く評価されている日本国債の流動性をデジタル領域でも維持・強化しなければならないという喫緊の課題があります。従来の仕組みでは、担保の差入や差替に多大な事務工数とタイムラグが生じていましたが、これをデジタル化することで事務負担を大幅に削減し、国内外の機関投資家によるJGBの利活用を拡大させる狙いがあります。
構造的な本質は、金融を「時間と場所の制約」から解放することにあります。今回の実証は、清算機関から機関投資家、さらには顧客と代理人に至るまで、多層的な主体間におけるクロスボーダー(国境を越えた)取引を想定しています。この実証を足がかりに、常時稼働かつグローバルな「止まらない金融インフラ」へと移行させることで、担保の遊休時間を減らし、資金効率を劇的に高める可能性を秘めています。
この取り組みは、単なるコスト削減にとどまりません。現物資産である日本国債をブロックチェーン上で管理可能にすることで、他のデジタルアセットとの連携を深め、新たな金融取引による価値創出を目指しています。振替法等の各種法令や関連諸規則との関係性についても検討対象に含め、必要に応じた規程類の改正要否や実用化に向けた機能改善について議論を進めています。
今回の実証は、代表的な安全資産である日本国債を足がかりにした金融インフラ再構築の前哨戦と言えるでしょう。担保管理の高度化を通じて、日本の金融市場の国際競争力を再び確固たるものにできるか、その成否が注目されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













