電力インフラの“出口” 大飯原発廃炉が示す30年工程

2026年04月21日 12:34

今回のニュースのポイント

大飯1・2号機の廃炉計画を変更申請:関西電力は2026年4月20日、大飯発電所1、2号機の廃止措置計画について、原子力規制委員会に変更認可申請を行いました。第1段階での調査結果に基づき、2027年度から始まる第2段階以降の具体的な解体工法などを計画に反映しました。

廃炉完了まで30年の長期工程:廃止措置は2019年度から2048年度まで、約30年をかけて4段階で進められる計画です。2038年度からの第3段階では、原子炉容器やその支持構造物など、原子炉本体領域の解体に本格的に着手します。

廃棄物量の推計を大幅に見直し:残存放射能調査の結果、低レベル放射性廃棄物の推定総量は当初の約2万3千トンから約9,800トンまで見直されました。一方で、放射性物質として扱う必要のない「クリアランス」対象は約1.3万トンから約3.9万トンへと大幅に増加しています。

「止める・壊す」までのライフサイクルコスト:2次系設備の解体(実施中〜)や使用済燃料の搬出(〜2037年度)など、運転停止後も長期にわたり多大な工程と廃棄物処理の課題が続く現実が改めて示されました。

 原子力発電所は、ひとたび停止すればそれで役割を終えるわけではありません。関西電力が2026年4月20日に提出した大飯発電所1、2号機の「廃止措置計画変更認可申請」は、停止後の処理を進めるために、いかに膨大な時間と緻密な工程が必要かという現実を示しています。

 大飯1、2号機の廃炉は、2019年度から2048年度までの約30年にわたる長期プロジェクトです。計画は4段階に区分されており、現在は第1段階の「解体準備期間」にあります。今回の変更申請は、この期間に実施した設備内の残存放射能調査の結果を踏まえ、2027年度から始まる第2段階「原子炉周辺設備解体撤去期間」以降の内容を、より実務的に具体化したものです。

 具体化された工程からは、作業の複雑さが読み取れます。汚染のないタービン建屋内の機器解体から始まり、放射能レベルの低い設備、そして2038年度からの第3段階では、原子炉容器やその支持構造物といった原子炉本体領域の解体に本格的に踏み出します。原子炉容器の解体では、水中切断や遠隔操作装置を駆使して作業員の被ばくを抑えるなど、高度な技術的制約が伴います。

 背景にある構造的な本質は、電力が「建設・運用」だけでなく「廃止」までを含めた超長期のライフサイクル産業であるという点です。今回の申請で示された廃棄物量の見直しでは、残存放射能調査の結果、低レベル放射性廃棄物の推定総量は当初の約2万3千トンから約9,800トンまで精査されました。一方で、放射性物質として扱う必要のない「クリアランス」対象は約1.3万トンから約3.9万トンへと大幅に上方修正されています。汚染状況の正確な把握が進んだ結果ではありますが、それでも依然として膨大な量の廃棄物を数十年にわたって管理・処理し続けなければなりません。

 こうした廃炉工程の具体化は、電力コストの再認識を迫ります。廃炉費用や廃棄物処理にかかる長期的なコストは、電気料金や公的な枠組みを含む形式で社会全体が最終的に負担する構造にあります。発電時のコスト性だけでなく、30年続く廃炉の現実を含めたフルライフサイクルコストを直視することが、今後のエネルギーミックスを議論する上での不可欠な前提となります。

 大飯の計画変更は、廃炉という「出口」の実務が、より具体的な実務段階へ移行したことを示しています。今後、国内の他の老朽原発でも同様の長期廃炉が進む中、原子力の利用とその幕引きのあり方について、より深い議論が求められています。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)