今回のニュースのポイント
富士通の2026年3月期決算は売上収益3兆5,029億円と微減ながら、営業利益は前期比31.4%増の3,483億円と大幅な増益を達成しました。前年度第4四半期からデバイスソリューション(新光電気工業など)を非継続事業に区分し、連結から切り離したことで、サービス事業「Uvance」を柱とする高収益なITサービス企業への転換が収益面に表れています。利益成長を背景に、1,500億円を上限とする大規模な自己株買いも発表しました。
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富士通が発表した2026年3月期決算(IFRS)は、同社が進めてきた「ハードウェアからサービスへ」というビジネスモデルの転換が収益面に表れ始めたことを示しました。売上収益は3兆5,029億円(前期比1.3%減)と微減でしたが、営業利益は3,483億円(同31.4%増)と急伸。親会社の所有者に帰属する当期利益は、前期比約2倍となる4,494億円に達しました。
大幅増益を牽引したのは、コンサルティングやシステム実装を担う「サービスソリューション」事業です。同セグメントは調整後営業利益で約3,615億円(前期約2,900億円)を稼ぎ出し、全社の利益の柱となっています 。かつて同社の代名詞だったパソコンやサーバーといったハードウェア関連の比重は相対的に低下しており、収益の重心はITサービスへと移動しています。
富士通は現在、前年度第4四半期からデバイスソリューション(新光電気工業など)を非継続事業に区分し、連結から切り離すなど、事業ポートフォリオの整理を進めています。これにより売上規模を追う形から、資本効率や利益率を重視する経営への移行が進んでいます。親会社所有者帰属持分当期利益率は、前期の12.6%から23.9%へ改善しています。
AI時代における同社の立ち位置も変化しています。富士通は半導体チップやハードウェアそのものよりも、Uvanceを軸にグローバル共通の価値提供サービスや国内外向けのサービスビジネスを展開する「サービスソリューション」に経営資源を集中させています。生成AIを企業や行政の業務プロセスに実装する領域で付加価値を高める姿勢がうかがえます。
こうした収益構造の改善とキャッシュ創出力の向上を受け、富士通は最大1,500億円の自己株式取得を決定しました。これは収益性重視のITサービス企業への転換に対する、経営側の判断を示すものと言えます。
今回の決算は、富士通が総合電機の一部門のような存在から、企業変革を支援するITサービス企業へと重心を移していることを示しました。AI・DX需要が旺盛ななか、国内企業の基幹システム更新などを担う存在として、今後の収益性の行方が注目されます。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













