今回のニュースのポイント
財務省が8日に発表した令和8年5月の国際収支状況(速報)によると、外国とのモノやサービス、投資の取引を示す経常収支は3兆9683億円の黒字となりました。前年同月から6478億円の黒字幅拡大となります。半導体等電子部品などの輸出増加が輸入の伸びを上回ったことで、貿易収支が69億円の黒字へ転化したほか、海外投資収益の堅調さを背景に第一次所得収支も4兆2756億円の巨額黒字を記録し、全体の黒字基調を強力に支えています。
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財務省が8日に公表した令和8年5月中の国際収支状況(速報)によると、国と海外との総合的な経済取引を示す経常収支は3兆9683億円の黒字を記録しました。前年同月比で6478億円の大幅な黒字幅拡大となり、貿易改善と海外投資収益の双方が経常黒字を支える形となりました。
全体の押し上げに寄与したのが、前年同月の赤字から黒字に転化した貿易収支です。5月の貿易収支は69億円の黒字となり、前年同月から5040億円もの改善を経て黒字に転化しました。内訳をみると、自動車や半導体等電子部品(前年同月比61.2%増)の牽引により、輸出額は前年同月比14.7%増の9兆3602億円と9か月連続の増加を記録。これに対し、輸入額も8.1%増の9兆3533億円と4か月連続で増加したものの、輸出の伸びが輸入の伸びを上回ったことで、実需の均衡を示す国際収支ベースでの貿易黒字化につながりました。
国際収支の構造において、引き続き最大の稼ぎ頭となっているのが、海外投資から得られる利子や配当金を示す「第一次所得収支」です。5月の第一次所得収支は4兆2756億円の黒字を計上し、前年同月比で955億円の黒字幅拡大を記録しました。月中平均で1ドル=158.34円(前年同月比9.4%の円安)という為替の円安基調が追い風となったほか、対外証券投資における証券投資収益(債券利子など)の増加が黒字幅をさらに押し上げており、日本の構造的な「稼ぐ力」の底堅さを示しています。
一方で、やや注意を要するのが「サービス収支」の動向です。5月のサービス収支は103億円の赤字となり、前年同月の1308億円の黒字から赤字へと転化しました。これは、歴史的な円安環境下でインバウンド需要が底堅く推移しているものの、旅行収支の黒字幅縮小などが影響したことによるものです。日本政府観光局がまとめた5月の訪日外国人旅行者数は355万9900人と前年同月比3.6%の減少となる一方、出国日本人数は112万7400人と4.7%増加しており、観光需要のバランス変化がサービス収支の足かせとなりました。
今回の国際収支状況は、輸出動向の底堅さに伴う貿易収支の黒字転化と、高水準を維持する第一次所得収支の巨額の黒字が、日本経済全体の経常黒字を力強く下支えする構図を鮮明に浮き彫りにしました。一方で、サービス収支が再び赤字に転じるなど内訳には斑模様も見られており、今後は自動車や半導体などの持続的な輸出の強さに加え、海外資産から得られる収益の還流や、訪日需要の再拡大の推移が、円安下における日本経済の収益構造を占う上での重要な判断軸となりそうです。 (編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













