今回のニュースのポイント
経団連は出入国在留管理基本計画案に対する意見を公表し、AIを活用した在留管理や高度外国人材の誘致強化などを求めました。人口減少が進む日本では、企業活動を支える人材確保が大きな課題となっています。一方、外国人材の受け入れ拡大には、地域社会との共生や制度整備への不安もあります。経済成長と社会の安心をどう両立するかが今後の焦点になります。
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深刻化する少子高齢化と労働力不足を背景に、日本経済の持続性を左右する外国人材政策が大きな転換期を迎えています。一般社団法人 日本経済団体連合会(経団連)は2026年7月8日、政府が意見募集を行っている「第二次出入国在留管理基本計画(案)」に対する意見書を取りまとめ、公表しました。2025年末時点における国内の在留外国人数が約413万人と過去最高を更新するなか、経団連は今回の基本計画案に対し、デジタル技術を活用した厳格かつ円滑な在留管理や、秩序ある共生社会の構築に向けた受け入れ環境の整備が進められている点を評価。その上で、行政手続きのデジタル化や効率化、国際的な獲得競争が激化する有為な人材の誘致に向け、さらに実効性の高い施策を講じるよう求めています。
この提言の背景にあるのは、日本の産業基盤を根底から揺るがす深刻な労働人口の減少と、世界規模で激化する高度人材の争奪戦です。特に地方や中小企業における人手不足は深刻化しており、現在の外国人政策は単なる「受け入れの是非を巡る議論」の枠を超え、国家の産業維持政策としての側面を急速に強めています。経団連は、高度な専門知識を持つ外国人材から日本が「選ばれる国」になるためには、誘致を成長戦略の重要な柱として明確に位置づけることが不可欠であると指摘。従来の受動的な受け入れ姿勢から脱却し、エビデンスに基づいた戦略的な制度設計と中長期的な社会統合の推進が必要であるとの見解を示しています。
今回の提言において特に目を引くのが、入管行政における「AIのさらなる活用」を前面に押し出している点です。人手不足は民間企業だけでなく、膨大な申請や厳格な審査を求められる行政側にも等しく存在しています。経団連は、政府が重要政策として掲げる「AIトランスフォーメーション(AX)」の流れを汲み、出入国管理業務にAIを最大限導入することを求めました。これにより、低リスクな適正申請者の審査を迅速化・自動化して利便性を高める一方、不適切・高リスクな事案に人員を集中させるという「メリハリのある効率的な審査体制」の構築を目指しています。ただし、行政判断へのAI導入にあたっては、判断基準の透明性や公平性の確保が今後の重要な課題となります。
一方で、こうした経済合理性に基づく人材確保の動きに対しては、生活者視点からの国民感情や地域社会の受け入れ能力との距離についても慎重に見極める必要があります。産業界が働き手の確保を急ぐ反面、地域社会の現場では、急激な外国人住民の増加に伴う言語や生活習慣の壁、制度を悪用した不法就労への懸念、さらには日本語教育、医療機関の多言語対応、住宅確保といった生活インフラの逼迫に対する不安が根強く存在します。経済界が求める「秩序ある戦略的誘致」が絵に描いた餅にならぬよう、社会が受けるインパクトと行政・地域負担のバランスを双方の視点から検証していく姿勢が求められます。
さらに、2027年4月に迫る「育成就労制度」の運用開始に向けた体制整備も、制度の信頼性を担保する上での焦点となっています。経団連は、新制度の実効性を確保するため、新たに設立される「外国人育成就労機構」における各種申請のオンライン化や電子決裁化の遅れに釘を刺し、利便性向上と重複書類の削減を着実に進めるよう求めています。ここでもAIを用いたデータ分析による不適切事案の早期把握やリスクに応じた重点監査の実施が期待されており、社会的な不信感を招かないための厳格な監督体制の構築が不可欠であるとされています。
今後の日本社会にとって問われるのは、単に外国人の受け入れ人数を「増やすか減らすか」という二元論ではなく、どのような人材を、どういったガバナンスのもとで受け入れ、いかに地域社会の構成員として包摂していくかという「持続可能な制度設計」そのものです。人口減少が避けられない冷厳な現実を前に、外国人材政策は単なる労働力の補填ではなく、日本社会全体の将来像や構造設計に直結するテーマとなっています。必要な人材を戦略的に確保しながら、地域社会の安心や制度への信頼をどう維持していくか。経済成長の維持と真の社会統合の両立こそが、これからの外国人政策に課された最も重い課題と言えそうです。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













