菅直人総理は23日、沖縄全戦没者追悼式に臨み、「いつの時代も、人間の尊厳と生命を守ることこそ政治の任務であることをこの場で心に刻んでいます」と述べるとともに「本土復帰から39年が過ぎたにもかかわらず、沖縄だけ(米軍基地が集中し)負担軽減が遅れていることは慙愧に堪えない。今後、米軍基地に関わる沖縄の負担軽減と危険性の除去への取組に最大限努力する」とあいさつした。
しかし、在日米軍普天間飛行場の移設問題では沖縄県内の名護市辺野古にV字型に2本の滑走路を造ることが今月開かれた日米両国の外務、防衛閣僚協議で正式に合意し、できるだけ早い時期での実現へ動き出すこととなった。民主党政権が誕生した中での大きな公約であった「少なくとも県外移転」という沖縄県民の期待や思いは完全に反故にされた。
菅総理は「沖縄振興計画の総仕上げをしっかり行っていく。また、沖縄の優位性や潜在力を最大限に生かし、沖縄の自立的発展のみならず、我が国及びアジア太平洋地域の発展に寄与しうる新たな沖縄振興策に取り組んでいきたいと思う。一括交付金、県が主体となる計画への支援、跡地利用に関する法律の制定、出先機関の見直しなど、様々な制度について、地元の方々の声に耳を傾けながら、これを実現していきたい」とあいさつの中で思いを述べた。その言葉がどこまで沖縄県民の心に響くかは、まさに政府の沖縄に対する今後の対応次第というほかない。
(編集担当:福角忠夫)