9月30日に開かれた経済財政諮問会議。高市首相は、2027年度予算編成に向け「強く豊かな日本」投資枠や複数年度の予算管理、補正予算への依存から脱却する方針を年末までに具体化する考えを示した(画像出典:首相官邸ホームページ)
今回のニュースのポイント
政府は9月30日の経済財政諮問会議で、2027年度予算編成に向けた議論を行いました。今回のポイントは単なる歳出増減の議論ではなく、単年度予算の弊害を正し、成長投資の複数年度での予算管理や、補正予算への恒常的な依存からの脱却について具体化を進める点にあります。民間議員は27年度を「責任ある積極財政元年」と位置付け、新枠組みの具体化を提言。これを受け高市首相も、投資枠や複数年度管理、補正依存脱却の方針を年末までに具体化し、予算編成の基本方針などへ反映させる考えを示しました。
本文
政府は9月30日、経済財政諮問会議を開き、2027年度予算編成について議論しました。成長投資の複数年度管理や補正予算への恒常的な依存からの脱却などをテーマとし、高市首相は年末までに方針を具体化した上で、「予算編成の基本方針」などを通じて27年度予算へ反映させる考えを明らかにしました。補正予算への恒常的な依存から脱却し、複数年度での予算管理などを具体化する方向で検討が進みます。
会議で民間議員が提示した財政運営の構想は、経済・物価・税収の的確な見通しを基に、主要な財政需要と歳出・歳入両面の見直しを一体として捉え、経済成長と財政規律を両立させる枠組みです。
主要な財政需要として「強く豊かな日本」投資枠、物価・賃金上昇への対応、2年間の時限的な飲食料品消費税減税、社会保障関係費、防衛力強化、国債利払い費の増加などを明示。一方の財源側では、租税特別措置や補助金の見直し、特別会計・基金からの歳入確保、従来補正予算で措置してきた物価高対策の抜本的見直しなどを挙げています。
■成長投資、複数年度管理の具体化へ
提言の重要な軸となるのが成長投資の管理手法の見直しです。民間議員は「強く豊かな日本」投資枠について、成長力や供給力の強化、経済安全保障への効果が高い分野を対象とし、十分な予算を確保するよう求めました。
特に民間議員は、経済安全保障上特に重要な分野などについて、特別会計で別枠管理し、複数年度で十分な財源を確保するよう提言しています。17分野の官民投資拡大に加え、スタートアップ育成や人材育成、AIを前提とした規制改革なども盛り込まれました。ただし、予算の固定化を防ぐため、官民投資の誘発や生産性向上への効果を検証し、EBPM(エビデンスに基づく政策立案)やPDCAに基づいて資源配分を不断に見直す仕組みの構築も同時に求めています。
■補正予算への依存脱却、当初予算との役割整理へ
もう一つの焦点が、大型補正予算への依存からの脱却です。骨太方針2026で示された方針に基づき、民間議員は27年度予算での具体化を要請。従来補正予算で計上してきた施策を当初予算へ組み替える提案に関連し、執行時期のズレによる混乱を避ける配慮を求めました。
また、令和7年度補正予算で約3兆円を措置した物価高対策についても、必要な見直しを提言。一時的な対策から持続的な所得向上や負担構造の見直しへと重点を移すべきだとしています。なお、緊急時の補正予算そのものを排除するわけではなく、世界経済の急変など想定外の事態には予備費などを機動的に活用して対応すべきだとの判断も示されています。
■通年での国債管理と財政規律
財政の持続可能性に関しては、2040年までの計画期間を通じて国・地方の債務残高対GDP比を安定的に低下させることを中核目標に設定。PB(基礎的財政収支)についても複数年度で改善・管理する姿勢を打ち出しました。
高市首相も、債務残高対GDP比を安定的に引き下げる中で可能となる財政規模を精査するとともに、当初予算と補正予算を合わせた通年の国債発行額を適切にコントロールする考えを表明しました。また、足元の税収実績や名目成長率、企業収益を詳細に分析し、税収見積もりの精度を高める方針です。
成長投資の複数年度管理の具体化、補正依存の低減、歳入・歳出の見直し、通年での国債発行額管理、債務残高対GDP比低下との整合性確保という一連のサイクルとして財政運営の組み替えを図ります。
民間議員は、2027年度予算を、この財政運営改革を実際の予算編成・経済財政運営に移す最初の予算と位置付けています。現段階では「強く豊かな日本」投資枠の具体的規模や対象、27年度の歳出総額、新規国債発行額の目標などは明示されていません。
政府は年末に向け、投資枠や複数年度の予算管理、補正予算への依存から脱却する方針を具体化し、予算編成の基本方針などを通じて予算編成を進めます。成長投資の確保と国債発行・債務残高の適切な管理をどのように両立させるのか、年末の予算編成で、具体的な制度設計がどこまで示されるかが焦点となります。(編集担当:エコノミックニュース編集部/Editorial Desk: Economic News Japan)













