被災地に小児の心ケアできるスタッフ必要

2011年04月05日 11:00

 医師のコミュニティサイトを運営するメドピアが東日本大震災の被災地現地リポートを実施中で、3月24日午後3時現在で寄せられた371人からのリポートの主なものを発表した。被災地医療班に小児に対しての治療やこころのケアができるスタッフが同行する方が良い事や乳児・内分泌外科医師からは「薬品や医療機材が限定される中での診療は不自由さと恐怖感さえ覚える」。消化器外科医師は「福島県民が地震と津波、原発事故、風評被害の4重苦にあっている」とこころない風評に惑わされないよう被災者への理解を求めるなど、今後の対策に対する貴重な意見が多く寄せられている。

 メドピアに寄せられた被災地リポートによると「救急・整形外科・外科医など小児を診ることのない医者が多くかりだされたが、親を亡くして立ち尽くす子どもにどのように接したら良いのか分からない。PTSDに関してアドバイスができない。発達が正常かどうか判別できないなど、小児への対処が分からないことが多かったようだ。小児に対する心のケア、治療のできるスタッフを同行させた方が良い」(小児科医師)という意見。

 「大惨事の被災地では命にかかわる医療が必要だが、いざという時の(特にカルテや機器の)マニュアルを簡略化しておくことが必要だと感じた」(一般内科医師ら)など、DMATとして被災地で治療に当たった医者らの体験に基づく貴重な意見が寄せられていた。

 気仙沼市で4日間活動した脳神経外科医師は「巡回診療を中心に活動した。慢性疾患の通常薬がないという訴えやトイレや水分の問題から便秘症状の人が多く見られた。コンタクトや軟膏などの需要も高かった。一番の問題は情報統制の問題で、電話が通じず、ガソリンもなく、どこで医療を受けられるのか分からないなどが一番多く聞かれた」と被災者への情報提供手段の確保や常備薬や医療用医薬品の確保などの重要性を提起している。

 また「災害においては医療従事者の派遣はもちろん重要だが、それだけではいかんともしがたく、インフラの復興などの方が重要であり、無力感を感じた」という意見も寄せられていた。

 このほか、外科医師は「テレビで見た惨劇のまま」とリポートするともに、なかなか伝わりにくいものとして「厳しい寒さ、今後に対する悲観など」をあげ、ケアすべきことの多さや長期的な支援の必要をうかがわせている。(編集担当:福角忠夫)