各種カードに迅速で正確な真贋判定を可能とするホログラム技術を活用

2011年03月10日 11:00

 近年、クレジットカード会社などは、会員の新規獲得に加え、少額決済やネット決済等の利用方法の拡張、利用額に応じたポイントの付与など、多様なサービスにより既存のカード会員の利用頻度を高め、一人ひとりの利用額を増やすようにしている。特に利用頻度や利用額の高い優良会員には、プラチナカードやプレミアムカードなどを発行し、付加サービスを提供することで、自社カードのメインカード化を推進。これらの動きは金融業界だけでなく、流通業、サービス業、運輸業などでも同様であり、各企業から、優良会員に対して付加価値の高いサービスを提供し、高級感のあるカードを発行したいというニーズが寄せられている。

 そこで大日本印刷(以下:DNP)は、高級感のあるデザインが実現できるリップマン型ホログラムカードを4月1日より販売するという。

 特長としては優良顧客向けカードに多く使われる黒を基調としたデザインで、輝度が高くリアルな3次元表現や、見る角度によって複数の立体画像の切り替えができるリップマン型ホログラムを中央に大きく配置することで高級感を演出。ホログラムの材料やカード製造プロセスを見直すことで、ホログラムのサイズや配置する位置の自由度を高めているという。また、カードを形成する層の間に挟み込むことによって、ホログラムの耐久性も向上。さらに特殊な材料や製造プロセスを必要とするリップマン型ホログラムを、カード内に挟み込むことによって、より高い偽造防止効果を実現している。

 DNPは今後、クレジットカード会社などの金融業界のほか、さまざまな業種における優良会員の会員証向けに同製品を販売し、2013年度までに3億円の売上を目指すという。

 一方、ソニー・ディスクアンドデジタルソリューションズは昨年5月、特殊な材料や製造技術・プロセスにより極めて偽造が困難なリップマン型ホログラムに、1枚毎に異なる個別ID情報をホログラムとして記録可能な独自のホログラム量産技術を開発している。

 個別ID情報付きのホログラムは、クレジットカードや各種ICカード、正規品認証シールなどに用いることで、模倣品・偽造品対策用途において従来よりも強固なセキュリティ性能を発揮。さらに、ホログラム製品の原版制作・量産だけでなく、インターネットを利用した個別ID情報の真贋判定を迅速に行うための認証サーバーシステムの運用を計画しているほか、個別ID情報を利用した顧客情報管理や製品管理といったサービス提供も視野に入れたビジネスの開拓を目指す。

 同社は現在、この個別ID常報付きのホログラム製品をソニー製品の正規品認証シールとして導入を推進している。今後は、アニメーションや実写映像の動画像を記録できるリップマン型ホログラムの特性を生かし、広告や販促物向けなどの新たなアプリケーションの開拓にも取り組んでいく予定だ。