年金切り替え漏れ者救済策 不公平な欠陥続出

2011年03月07日 11:00

 サラリーマンの扶養家族になっていた専業主婦が、夫がサラリーマンでなくなって後も切り替え手続きをしないままになっていた国民年金3号被保険者切り替え漏れ者に対する政府の救済策(運用3号制度)が4日の参議院予算委員会でも不公平な策だとして取り上げられ、救済策の欠陥が次々、指摘された。

 この日は世耕弘成自民党幹事長代理(参議院議員)がこの問題を取り上げた。世耕議員は夫が20年前に脱サラした場合、切り替え手続きをした主婦は360万円を支払ったことになり、切り替えをせずに支払ってこなかった主婦は救済策で、2年分(36万円)を支払えば20年間支払ってきた人と同じ扱いになる。こんな不公平があっていいのか、と追求。

 さらに昨年11月に申し出た人の扱いと厚労省課長通知が出された後に申し出た人との扱いについても質した。

 細川律夫厚生労働大臣は昨年11月に申し出た人については「未納期間は未納期間として扱う」と述べ、先に申し出た方が大きな負担を被るという救済策の不公平さを自ら明るみにする結果となった。また、自ら「指摘の通りのところがある」と不公平を生ずる救済策であることを認めた。

 また、世耕議員はこの救済策では「2年間の分を払わなくても18年分もらえることになるじゃないか」と運用3号のさらなる欠陥を指摘。「これじゃ、濡れ手に粟だ。救済策は必要だが、何も払わないでもらえるのは問題だ」とした。

 加えて、世耕議員は健康保険が夫の脱サラで国民健康保険にかわるため、ほとんどの人は切り替えなければならないことに気づくはずだと指摘。「性善説に立って運用することにも問題がある」として、救済については「法律を改正して対応すべき」と迫った。

 細川厚生労働大臣は「制度創設の昭和61年から平成10年頃まで社会保険庁が3号切り替えについて届け出てくれということもなく、ほったらかしの状態だった」と行政の怠慢を認め、切り替えを促進してこなかった行政側にも問題があるため、すでに受給されている受給権者に対して返してくれとか、減額を求めるのは受給権者の不利益になるとして、さきの措置をとることとなった背景を語った。この救済策は切り替え漏れ期間にかかわらず、2年分を支払えば、そのほかの期間については支払われていたものと判断するもので、国民から批判が相次ぐなど、総務省の年金業務監視委員会からも相次いで異論が出るなどしたため、現在、この措置は保留されている。
(編集担当:福角忠夫)