三菱化学と三菱樹脂、ビル壁面で発電可能な建材一体型太陽電池を発売

2011年03月03日 11:00

 屋根や外壁などの部材と太陽電池モジュールを一体化させた「建材一体型太陽電池」は、建物に太陽電池を付加するよりコストを削減でき、工期の短縮や景観やデザインとの調和がとれる、といった特長がある。

 三菱化学 と三菱樹脂 は2月28日、三菱樹脂のアルミ樹脂複合板「アルポリック(R)」と薄膜太陽電池を組み合わせた建材一体型太陽電池「アルポリック(R)/ジオア(R)」を発売。今年4月より営業を開始し、10月より随時納入を開始すると発表した。

 「アルポリック(R)」は、樹脂芯材の両面にアルミニウム板を貼り合わせて一体化した複合板で、軽量性、剛性、曲面加工性、表面平滑性に優れた建材として、世界約130カ国で年間約1,000万平方メートルの納入実績がある。この「アルポリック(R)」にアモルファスシリコン型薄膜太陽電池を樹脂ラミネート加工したのが建材一体型太陽電池「アルポリック(R)/ジオア(R)」で、これを使用すると、これまでは主に建物の屋上や屋根といった水平面に設置場所が限られていた太陽電池を、垂直面である壁面でも活用することができる。同商品の販売については、太陽電池需要に強い三菱化学と建材需要に強い三菱樹脂の商流を並存させ、三菱ケミカルホールディングスグループとしての相乗効果を狙う。

 建材一体型太陽電池については、昨年6月には、サンテックパワージャパンが1994年に発売した屋根建材一体型太陽光発電モジュール「ジャストルーフ」に新型単結晶セルを採用し、変換効率を10.7%に向上させたシリーズを発売している。同シリーズに採用した単結晶セル「ジャンボセル」は、対角を従来の150mmから165mmに伸ばし、1枚あたりの面積を約4%拡大し、各電極とインターコネクターの両端を細くすることで集光面積を向上させるとともに、すべての電極をセルの周囲で連結させることで発電した電力を効率よく回収できるようにした。太陽光発電が一般にも認知され、”エコ”を合言葉に広く受け入れられている昨今。このように、設置場所が広がり、高効率の商品の登場によってさらなる需要を生むのかに注目したい。
(編集担当:上地智)