ダイドードリンコ、厳しい経営環境にありながら増益増収

2011年02月28日 11:00

k110227_047_3

2011年1月期の連結業績を発表するダイドードリンコの高松富博代表取締役社長。

 ダイドードリンコは25日、2011年1月期の連結業績を発表した。それによると、厳しい経営環境にありながらも、グループ全体での売上高は1513億6900万円(前連結合計年度比0.2%増)、営業利益65億3900万円(前連結合計年度比7.9%増)、経常利益58億900万円(前連結合計年度比5.3%増)、当期純利益においては26億9100万円(前連結合計年度比281.3%)と大幅に前年度を上回る数字となっている。

 国内経済は、企業収益の改善など景気持ち直しが期待されたが、急激な円高、株価の低迷、さらには雇用環境の一層の悪化相変わらず厳しい状況は続いている。飲料業界においても、夏場の猛暑による一過性の効果はあったものの、消費者の節約志向は依然継続し、さらには、低価格化が進行するなど販売競争が益々激化している。

 しかし同社は企業としての総合力を発揮することで売上高は前年並みに回復。特に飲料受託製造部門においては、消費者ニーズがドリンク剤から健康食品やサプリメント(健康補助食品)への流れに変わったことをいち早く掴み、従来のドリンク剤のノウハウを礎として、「美容と健康」を謳った女性向け商品を開発する体制を構築したことで、大手化粧品会社など多方面にわたる受注を獲得することができたという。さらに営業開発体制の強化並びに生産体制の整備が年々拡充したことに加え、昨今の経済環境の変化から大手医薬品等有力メーカーの生産スタイルが「自社生産」から「OEM生産」にウエイトシフトしたことなどにより、安定した業績を示しているという。

 また、飲料販売部門では、同社の主力ブランドとして35年という長きにわたり発売している「ダイドーブレンドコーヒー」をsince1975としてリニューアル。同時に「ダイドーブレンドスペシャル〔微糖〕」を新たに発売しラインアップの充実と幅広いユーザーの囲い込み、シェアの維持拡大に注力し、2010年9月より本格的に大型商品としてマーケットに送り出すことで好評を得ているようだ。

 さらに、2010年3月に営業・生産・商品開発を中心とした「メーカー機能」と自販機ネットワークの維持向上を狙う「オペレーション機能」に棲み分けた、シンプルな「機能特化型組織」に移行するグループ組織再編を実施。各自の役割期待を明確化させることで全社員の意識改革を促し、新たな時代に適合する「自販機ビジネスモデルの再構築」を目指している。

 このような抜本的構造改革による経営体質の改善や前期より取組んできた業務の全面的な見直しによる固定費削減など、徹底した経営効率の向上を推進し利益確保に注力。結果、2011年1月期の連結業績は、前連結合計年度比を大きく上回る形となった。

 景気回復に兆しは見えつつも、総体的に企業業績は厳しい状況で推移するものと思われ、雇用情勢の悪化やデフレの進行など、景気の先行き不透明感は拭い去れないのが現状だ。清涼飲料業界ももちろん、このような景気後退局面では「パイの大きな拡大」は期待できず、「量より質」への傾斜が強まるとともに、一層激しい企業間競争が展開されると考えられる。また、原材料等の調達面でも、コーヒー豆や砂糖などの価格の上昇が顕著化しており、収益圧迫の大きな要因となってきている感も否めない。同社もこれに対し、様々な分野で調達方法など、対応の見直しをきめ細かく実施することで、その緩和に鋭意注力するが、現時点では利益面への影響が全く払しょくしたとは言い難い。こうした厳しい経営環境の下、販売力の回復を目指し、2011年1月21日付で営業・生産・商品開発を中心とした組織改革を実施し、製品開発からオペレーションに至るまでの全てのビジネスプロセスを見直し、今後は持続的発展を展望できる堅固な収益体質の構築に努めていく方針だ。

 これらの展望により、次期の連結会計年度の見通しは、売上高こそ1460億円(前連結合計年度比3.5%減)と減少するが、営業利益67億円(前連結合計年度比2.5%増)、経常利益58億5000万円(前連結合計年度比0.7%増)、当期純利益28億円(前連結合計年度比4.1%増)という増益を見込んでいる。