クラレ、ドイツ工場のポバール樹脂生産設備を増設

2011年01月18日 11:00

 クラレ <3405>は14日、ドイツ・フランクフルトにある工場のポバール樹脂生産設備を増設すると発表した。これにより、欧州市場におけるポバール樹脂の需要拡大に対応していく方針だ。

 ポバール樹脂は、1950年に同社がビニロン繊維の原料として世界で初めて工業化した合成樹脂で、水溶性などの特性を生かして、紙加工剤、接着剤、繊維糊剤などに広く使われている。また、液晶ディスプレイの基幹部材である偏光フィルムのベースとなる光学用ポバールフィルムとして、世界的に高いシェアを有しているという。近年では、ポバール樹脂を原料として作られるPVB(ポリビニルブチラール)樹脂が、塗料・インク・セラミックのバインダーなどに使用されるほか、フィルム状に加工されたPVBフィルムに関しては、建築用窓ガラスや自動車フロントガラスの破損・飛散を防止する安全ガラス用中間膜を始め、近年は太陽光発電パネルの封止材向けに使われるなど、その用途を広げている。

 今回、クラレは、ポバール樹脂の需要が急速の拡大している欧州市場において、安定供給体制を維持するために生産設備の増設を決定したという。投資額は約5,800万ユーロ(約70億円)となっており、稼働時期は2013年度第1四半期を予定している。今回の増設により年間24,000トンも生産能力がアップし、既存の設備分を加えると、ドイツ工場でのトータルの生産能力は年間94,000トンになるという。