ポスト中国の有望市場に向けての戦略強化を図る建機メーカー

2010年12月06日 11:00

 中国をはじめとするアジア地域での需要増加や欧米の需要回復などが大きな要素となり、世界不況という長いトンネルから抜け出した感のある建設機械市場。日本建設機械工業会(CEMA)がまとめた2010年9月の建設機械出荷金額は、内需が前年同月比11.9%増の624億2800万円、外需に至っては前年同月の2.05倍となる1337億6700万円という数字をたたき出しており、内需と外需からなる総合計では、前年同月比62.1%増の1961億9500万円という好調ぶりだ。

 建設機械メーカー大手各社の10年4-9月期連結決算も増収増益となっており、円高などのマイナス材料があったものの、世界規模での需要回復の勢いが上回ったという形になった。さらに各社は、11年3月期業績予想も軒並み上方修正しており、業界全体がリーマンショック以前のピーク時のレベルにまで回復しそうな勢いを見せている。

 こうした中、建設機械メーカー各社は、海外において生産拠点の増強や販売拠点の整備などを着々と進めているようだ。建設機械で国内シェア1位のコマツ<6301> は、今後インフラの整備が進むことにより建設機械の需要増加が見込まれているロシアで、溶接から組み立てまで一貫して行う建設機械の工場が今年の夏から稼働している。また、日立建機<6305> もロシアで13年10月に中型油圧ショベルの生産を始めるとしており、中国と並ぶ大国であるロシアを今後の有望な市場と捉え、世界規模でのシェア獲得を狙う。

 一方、コベルコ建機はインドで油圧ショベルの新工場を11年1月から操業。タダノ<6395> も、ブラジルで建設用クレーンの製造・販売・サービス合弁会社の設立を計画するなど、各社、ポスト中国の市場に向けて、生産や販売を強化する動きに拍車がかかってきたようだ。