生物多様性効果をソバ畑で実証 森林総合研究所

2010年11月17日 11:00

 森林総合研究所は花粉を媒介する昆虫の多様性がソバの結実率を高め、実りを豊かにすることを確認したと16日、発表した。森林の生物多様性の効果を実証したもの。

 同研究所によると中山間地で栽培されているソバの実のつき具合(結実率)と生物多様性との関係を調べた結果、「森林や草地など多様な植生が周りに豊富なソバ畑では、花粉を媒介するハチ、アリ、ハエ、ハナアブ、ハナムギリなどの昆虫が多くみられ、花粉を媒介するこうした昆虫の多くいるソバ畑では、ソバの結実率が良くなった」としている。

 ハチ、アリ、ハエ、ハナアブ、ハナムギリなどの昆虫は森林や草地などに生息し、数百メートルの範囲で移動している。一方、ニホンミツバチは森林などに生息し、数キロメートルの範囲で移動するとしている。

 こうした結果を踏まえて、同研究所では「森林など生物多様性の高い植生の存在が農作物の生産に貢献した事例であり、森林を守ることは生物多様性の保全を通じて、その生態系サービスを維持する意味がある」と報告している。
(編集担当:福角やすえ)