観光庁の観光産業政策検討会が世界最高・最先端の観光産業を目指すために提言をまとめた。有識者らが旅行業、宿泊業など日本の観光産業を日本経済成長のけん引役としてさらに充実させるためにどうするべきかなど、昨年9月から検討を進めてきた。
提言では観光産業のブランドの確立を図るため、ツアーオペレーター認証制度の導入や充実、宿泊施設の情報提供制度の普及を提言しているほか、宿泊産業でのマネジメント・生産性の改善・向上を図る手段のひとつとして、所有と経営の分離や新たな経営スタイルの導入、積極的な海外展開などをあげている。
また旅行の安全の確保へ組織的な安全マネジメントの構築を提言したほか、IT技術の発展に対するニーズの高まりに対応するため、無料公衆無線LANや外国語放送などの整備、国際的なプレゼンスの向上を。人材面では現場のモチベーションを向上させる手段として表彰制度の導入を。また語学力も含めた実務者層のレベルアップ、観光産業への若年層の理解促進や興味喚起をはかるよう提言した。観光庁では提言内容を速やかに実施、検討していく方針だ。
観光庁の調べによると、無料公衆無線LANの整備状況をみても、全館で提供しているホテルは20%、旅館では6%にとどまっており、ホテルの42%、旅館の39%は未整備の状況(昨年8月現在)だった。また、宿泊業の労働条件は2009年データでは平均月収で19万円と全産業平均に比べ5万5000円低いなど若者にとって職業選択への興味喚起の意味からも労働条件の改善も必要だ。(編集担当:森高龍二)