松くい虫被害 エリアは拡大 被害は減少へ動く

2010年09月21日 11:00

 森林病害虫被害で最も大きな被害をもたらす「松くい虫被害」が北海道を除く全国に広がった。

 林野庁が21年度の森林病害虫被害量実績について、都道府県からの報告を取りまとめて分かった。その結果、これまで被害発生のなかった青森県津軽半島でも発生していたことが分かったことから、46都府県で被害が出た。

 林野庁では「青森県での発生は一本だけの被害におさまっており、周辺に広がっていると聞いていないため、拡大を防げたのでは」としている。また、マツノマダラカミキリが何らかの原因で入り込んだ可能性が高く、温暖化などによる生息エリアの変化などによるものではない、とみている。

 林野庁のまとめによると、21年度の国内においての松くい虫被害量は前年度に比べ約3万立方メートル減少し、59万3800立方メートルの被害になったとしている。このうち、3万7200立法メートルは国有林だった。

 また、被害の大きい都府県は鹿児島(9万立方メートル)、長野(6万立方メートル)、岩手(4万1600立方メートル)、福島(4万600立方メートル)だった。

 松くい虫被害は1978年に急激に広がり、207万立方メートルの被害を受け、翌年には243万立方メートルと被害のピークを迎える。その後、「松のみどりを守ろう」と国民的な運動も背景に薬剤散布などで沈静化しはじめ、2005年以降は60万立方メートル台を推移、1977年以降、初めて60万立方メートルを割ることができた。被害対策が進んでいることから、今後も気候条件などで多少の増減は年によりあるものの、全体的には減少傾向を保てるだろう、と林野庁ではみている。
(編集担当:福角忠夫)