農家に対する米の戸別所得補償モデル事業(1俵あたり1700円)の対象となっている今年度産の米が市場に流通し始めるなか、米の過剰在庫が316万トンと過去7年間で最大になっているなどから「米価が過去10カ月間で1俵あたり約1000円下落している」として自民党政務調査会農林部会は「米価緊急事態宣言」を採択するとともに、政府与党に対し、米の戸別所得補償の打ち切りとその財源を麦・大豆の生産促進や集落営農の促進、担い手育成に振向けるよう農業政策の転換を求めている。
自民農林部会は米価緊急事態宣言で、米価がさらに下落する可能性があることを指摘するとともに、米の戸別所得補償モデル事業は米生産を優遇し、米価下落と財政支出拡大の持続的連鎖が生じる不適切な仕組みだとしている。
また、政府は来年度から米の戸別所得補償を本格実施する法案を来年の通常国会に提出する予定だが、このまま、こうした制度が実施継続されることになれば、米農家は米価下落と財政的に破綻した戸別所得補償の打ち切りの挟み撃ちにあい、消費者は麦・大豆の原産や米生産農家の大幅減少による食生活の悪化という被害を被るとし、「直ちに政策転換を図るべき」と訴えている。
(編集担当:福角忠夫)