ヤマハ発動機<7272>は先日、2010年12月期第2四半期連結業績を発表した。売上高は6,762億円(前年同期比16.7%増)、営業利益は前年同期338億円の赤字から689億円改善となる350億円、経常利益は前年同期から807億円改善し438億円、純利益も985億円もの改善となる238億円となっており、前年の赤字から大幅な回復を見せている。
今回、当初の予想を大幅に上回る数字を出した大きな要因は、成長著しいアジア市場の勢いが、同社の主力事業である二輪車の売上を押し上げたことにあるようだ。それは、インドネシアなどのアセアン地域をはじめとするアジアでの売上が前年同期比50.8%増加の3,101億円という具体的な数字となって表れている。二輪車事業全体としては、欧米における需要減少や、米国での在庫調整の影響などのマイナス要素もあったことから、前年同期比16.2%増加の4,765億円にとどまった。
また、マリン事業の売上は、米国における船外機の流通在庫適正化による卸出荷の増加や、新商品投入効果などにより、前年同期比15.1%増の958億円と好調に推移。さらに、その他の事業でも、サーフェスマウンターの受注が主に中国・韓国向けにおいて大幅に増加したことや、自動車エンジンや電動アシスト自転車などの販売も好調だったことから、前年同期に比べ53.8%も増加し595億円の売上となっている。しかし特機事業においては、欧米での四輪バギー需要の減少が続いており、444億円と前年同期に比べ6.5%減となった。
アセアンなど新興国での二輪車の販売増、米国での船外機や中国でのサーフェスマウンターの販売拡大などの要素に加え、先進国事業の収益構造改革、人件費の削減および経費圧縮の効果など、いくつかのプラス材料が重なった結果が今回のV字回復へと繋がったと見られる。尚、同社では、今後の円高定着化や原材料価格の上昇、さらには欧米など先進国での二輪車、四輪バギーなどのさらなる販売減を見込んだうえでも、アジア諸国での二輪車のさらなる販売増が予測されることから、通期連結業績予想を、売上高1兆3,000億円、営業利益450億円、経常利益550億円、当期純利益250億円に上方修正している。
(編集担当:北尾準)