数ミリ角でRFID機能を実現する部品が商品化

2010年04月26日 11:00

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村田製作所では、「マジックストラップ」のロゴマークを作成。電子部品にロゴマークを作るということからも村田製作所の当製品にかける意気込みがうかがえる。

 株式会社村田製作所 は世界最小のアンテナレスUHF帯RFIDタグLXMSシリーズを開発、商品化した。同製品は2008年に同社が商品化したUHF帯RFID用IC内蔵モジュール「マジックストラップ」のラインナップの一つであり、3.2×1.6×0.55mmと1.6×1.0×0.27mmの2種類の製品を販売する。

 RFIDとは、バーコードに代わる技術として、近年急速な普及と大きな注目を集めているシステム。ID情報を埋め込んだ「タグ」と呼ばれる微小なチップから、電波や電磁波を用いた近距離無線通信によって情報のやり取りを行うものだ。

 日本でも非接触ICカードや携帯電話での小額決済システムで広く用いられているが、これまでのRFIDでは、情報を記録するIC部分とは別にアンテナを必要としていたため、一定の実装スペースが必要だった。

 しかし、今回ムラタが商品化したこのLXMSシリーズは、同社がこれまで多層基板の設計などで培ってきた回路設計技術を生かし、電波の放射が可能な受動回路を設計、内蔵することにより、いわゆるアンテナなしで通信が可能な画期的な製品。これまでの、アンテナを含めたRFIDタグと比較すると、なんと50分の1というサイズダウンに成功しているのだ。数ミリ角でRFIDの機能を持った部品というのは間違いなく世界最小クラスだ。これにより、これまでサイズが課題となってRFIDの搭載が難しかった個品管理などへの利用ができるようになる。

 また、同製品は世界規格であるUHF帯RFIDの第2世代「EPCglobal Class1 Generation2」仕様に準拠しているので、読み取りに当たっての互換性も広く確保されており、情報のパスワード保護も行える。さらには、金属やPCB基板など、様々な素材のデバイスにとりつけることができるうえに、高温、高湿度、化学物質雰囲気などの悪条件に対しても高い抵抗性をもっている。これまで塔載することが難しかった耐久消費財に対しても、識別、追跡、情報蓄積の目的で容易にタグ付けすることが可能だ。

 ムラタはこれまでUHF帯を利用し、長距離読み取りが可能なシリーズを商品化していたが、今回のこのLXMSシリーズの商品化により、実装スペースを極小化し近接読み取りを行うシリーズが加わったことになる。流通業界をはじめとする様々なシーンにおいて、UHF帯RFIDの活用が広がり、飛躍的な普及が期待できそうだ。
(編集担当:藤原伊織)