前原誠司国土交通大臣は10月9日、ダム事業のうち、国や水資源機構が実施している48事業について、今年度のうちに用地買収や生活再建工事、転流工工事、ダムの本体工事など、各段階で、それぞれの工事の新たな段階には着手しないとの方針を明らかにした。前原大臣は「新たな段階に入るための工事契約や用地の買収は行わない」としている。
現在、国や水資源機構が実施しているダム事業は56ある。このうち、既存施設の機能向上を図るための8事業については、その対象から外した。
また、道府県が実施している87のダム事業については「工事発注を含め、各都道府県知事の判断を尊重する」とした。
前原大臣は「来年度についての個別のダム事業の進め方に関する基本的方針については政府予算案の提出時までに明らかにする」意向も伝えた。
国交省直轄あるいは水資源機構のダム事業のうち、実施計画調査の段階だった上矢作ダム(中部地方整備局)は来年度から中止になっている。一方、留萌ダム(北海道開発局)はじめ、道県が事業主体で建設中の西岡生活貯水池(北海道)や藤波ダム(福岡県)などの事業は今年度に完成する予定で、事業が進んでいる。
また、無駄遣い排除のひとつとして、建設中止が大臣から表明されている群馬県長野原町で建設中の八ッ場(やんば)ダムと熊本県の川辺川ダムについては、生活関連事業に限って事業を継続していくとの方針も示されている。
(編集担当:福角忠夫)