新型インフルエンザ対策に来年度207億円

2009年08月28日 11:00

 厚生労働省は平成22年度予算概算要求の主要事項を8月27日、発表した。厚生労働省全体の概算要求(要望上限枠)額は26兆4000億円(今年度当初予算比1兆2565億円の増)となり、このうち、24兆8624億円は年金や医療などの経費で、今年度当初予算に比べ、年金や医療などの経費は1兆776億円増加している。人件費(2400億円)を含む義務的経費は5572億円と今年度当初費で26億円の減額となった。

 厚生労働省では予算編成過程で、新たな年金記録管理体制の確立のための経費や高齢者医療の円滑運営対策にかかる経費などについては別途に検討していかねばならない、としている。

 予算要求内容をみると、新型インフルエンザワクチンの買い上げに60億円を計上するほか、今年度補正予算(1279億円)で創設する未承認薬・新型インフルエンザなど対策基金を活用し、「細胞培養法の開発によるワクチン生産期間の短縮化」や「有効性や利便性の高い第3世代ワクチンの開発推進」にあたる、としている。

 また、「新型インフルエンザ患者を一般医療機関でも受け入れることができるよう、病床や院内感染防止のための施設・設備(人工呼吸器等)」「新型インフルエンザ患者の発熱相談窓口設置(136か所)に対する国庫補助」などに54億円など、新型インフルエンザ対策関係で総額207億円を予定。

 がん対策の推進に453億円、難病対策(難治性疾患に関する調査や研究の推進、難病患者への生活支援)などに1637億円、肝炎対策の充実に209億円、臓器移植対策に9億6000万円などを計上している。

 このうち、がん予防、早期発見の一環では「検診受診率の低い女性特有のがん(子宮頸がん、乳がん)について、一定の年齢に達した女性に検診の無料クーポンを配布するとともに検診手帳を交付する」としており、具体的には、子宮頸がんは20歳、25歳、30歳、35歳及び40歳に、乳がんについては40歳、45歳、 50歳、55歳及び60歳を対象にしている。対象人数として740万人分を確保する。

 また、臓器移植では「移植が適切に実施されるよう、コーディネーター等のあっせん業務従事者の増員や移植対象者検索システム及び臓器提供意思登録システムの改修等の体制整備を行うとともに、改正内容の普及啓発に取り組む。また、心停止後の腎臓提供をモデル医療機関(47か所)において積極的に推進し、腎臓移植の増加を図る」としている。
(編集担当:福角忠夫)