公取の取引改善委会議で下請の厳しさ浮き彫り

2009年07月31日 11:00

 公正取引委員会は下請取引改善協力委員会議で提案された意見の概要をまとめ、公表した。資金繰りが厳しい中小零細企業が多い下請業界にあって、親会社からは「現金払いから手形払いへの変更、更に手形期間の長期化など、支払条件の悪化傾向が進んでいる」と厳しい状況が指摘されていた。公取では、各地域の下請取引の実情に詳しい民間有識者を下請取引改善協力委員として委嘱しており、150人が委員に任命されている。

 会議においての意見のなかには「親事業者が経営資源を選択・集中させていることから下請事業者は受注量を確保するため、親事業者のコストダウン要求を受け入れざるを得ない状況にある。この結果、下請事業者の取引条件がますます厳しくなっている」「受注量が大幅に減少したため雇用調整助成金制度を利用し、工場の操業日を減らしている下請事業者が増えている」など、親会社に従わざるを得ない苦しい状況に置かれている下請の実態や従業員の雇用を守るための苦労が窺える内容になっていた。

 また、会議では、下請法違反行為が後を絶たない理由について「親事業者自身が受注量の減少に苦しんでいる。この結果、赤字幅減少のために、なりふり構わず下請法違反行為を行う親事業者が多くなっている。親事業者の役員や発注担当者が真に下請法を理解していないことによるものと思われる」「多くの下請事業者は,公正取引委員会に情報提供したことが親事業者に発覚し、親事業者とのその後の取引に影響が生じるのではないかという不安を抱いている。このような不安を解消するためには,公正取引委員会が情報提供者の身元の発覚を防ぐために様々な工夫をした上で、調査を行っているということを今まで以上に周知すべきである」などの報告を行っていた。
(編集担当:福角忠夫)