消費者の94.6%が日本の農業、農村の現況を問題と感じ、政策に対して見直しの必要を感じていることが農林水産省が今年5月下旬から6月中旬にかけて行った調査で浮き彫りになった。
これは農林水産省が米政策・水田農業政策に対し、同省の情報交流モニター1500人とインターネット委託社の調査2万7753人を対象にアンケートしたもので、情報交流モニター1322人とインターネット委託社からの2237人の合わせて3559人からの回答をまとめた。
それによると、日本の食料自給率(カロリーベース)が4割と食料の6割を海外に依存している状況や農業所得が1990年では6兆1000億円だったが、2005年には3兆4000億円にまで落ち込んでいること、基幹的農業従事者の6割近くが65歳以上の高齢者になっていること、耕作放棄地が埼玉県とほぼ同じ大きさにまで広がっていることなど日本の農業、農村の現況について、どう感じているかの問いに、「問題であり、政策の見直しが必要」「どちらかというと問題であり、政策の見直しが必要」とする回答がそれぞれ70.9%、23.7%と合わせると94.6%に上った。問題と思わないは0.6%にとどまった。
ここ5年で米の消費はどうなったかの質問では「変わらない」が61.9%、「増えた」が24.3%、「減った」が12.8%。減ったと回答した人は、減った理由について「パンや麺を食べる機会が増えた」(55.9%)「ダイエットや健康のためにご飯の量を減らした」(34.4%)「おかずを増やして、ご飯の量を減らした」(28.9%)などをあげていた。「炊飯調理が面倒だから」(8.6%)「お米が高いから」(6,1%)というものもあった。
次に、米の一人当たりの年間消費量がこの半世紀で半減(1962年118キログラム、2007年では61.4キログラム)したため、日本の水田の6割で主食用米の需要が賄える状況になっているが米の生産調整は必要と思うかの問いには、32.8%の人が必要と回答。麦や大豆などの自給率向上対策を別途に講じたうえで、生産調整はやめるべきとする人が35.4%、何も必要ない。生産調整はやめるべき、との回答が4.4%と「生産調整はやめるべき」が「生産調整すべき」を上回った。
生産調整すべき、とする人はその理由として「自給率向上のために水田を有効に活用する必要がある」「米価が下がって農家の経営が成り立たなくなると困るから」というものが多かった。逆に生産調整をすべきでない、との回答では「何を生産すべきかは農家が自分で決めるべき」「農業の競争力向上、コストダウンにつながる」「税金を投入すべきものではない」などをあげる人が多かった。
農家への支援の仕方については「消費者が少々高くても国産品を買うことにより支援し、税金による支援は維持、または小さくすべき」が51.3%と半分を占めた。一方、「農家の経営が成り立つように税金の負担が増えたとしても国からの補助金などで支援すべき」も33.2%と依然として3割を超える支持がでていた。
お米の価格と消費量の関係については、値段が下がれば消費量を増やしたいが36.4%、上がっても量は増やしていきたいは1.8%にとどまり、逆に値段が上がれば量は減らしていきたいが21.4%にもなっていた。
(情報提供:エコノミックニュース 編集:福角忠夫)