注射器や点滴パックなど医療用廃棄物をはじめカセットガスボンベやドラム缶、火薬の入った信号弾など海岸に漂着する危険物に対して、海岸管理者に的確な初動対処をしてもらうための参考にと、国土交通省と農林水産省が「海岸漂着危険物対応ガイドライン」をまとめ、7月1日、発表した。あわせて、子どもたちが被害に遭わないために、子どもにも分かりやすい「海岸漂着危険物ハンドブック」を作成し、浜辺に落ちているポリタンクやペットボトルなどに塩酸など強い化学薬品が入っていることがあるなど、「絶対に触らないで、近くの大人に知らせましょう!」と注意を呼びかけている。
国土交通省河川局海岸室によると、2006年の秋に1ケ月にわたり日本の海岸に漂着する量を調べたところ、15万立法メートルにもなった、という。特に、漂着が目立つのは日本海側の九州エリアや青森、対馬海流エリアだが、漂着は全国の海岸に渡っていえる状況。海外では海岸に打ち寄せられた注射器を子どもが触って針が刺さり、病気に感染してしまった事例や石川県では男性が信号弾を触っていたところ爆発しケガを負った事例もある。
同省では「危険物によって、それぞれ対処法が違います。海岸管理者がそれぞれ個々の危険物の専門知識までを有しているわけではないため、手順を整理して対応頂くためのガイドラインを作成することにしました。19年度、20年度で検討を進めてきたものです」と海岸管理者に活用を勧めている。
なお、危険物としてガイドブックで紹介している主なものは「薬品や農薬、液体の入っている容器」「カセットガスボンベ、消火器など高圧ガスの類」「注射器や薬ビンなど医療系廃棄物」「信号弾、発炎筒など火薬類」「毒性のある生物の死体(カツオノエボシ、カツオノカンムリ、アンドンクラゲ、アカクラゲなど)」「ウミガメ、クジラ、イルカの死体(海洋汚染や病死が考えられる。クジラやウミガメなどでは人にうつるウイルスを有するものもある)」「鳥の死体(餓死や脂汚染、鳥インフルエンザなどによる死亡もあり、鳥インフルエンザは人にうつることもある)」など。危険物ハンドブックは同省ホームページからダウンロードできる。
(情報提供:エコノミックニュース 編集:福角忠夫)