長期優良住宅制度スタート 住宅新時代

2009年06月08日 11:00

 長期優良住宅制度がスタートした。何世代にもわたって、快適な状態で住まうことができる住宅の普及をめざす。「いいものをつくって、きちんと手入れし、長く大切に使う社会への移行をめざすことが重要」として福田内閣時代にとりまとめられた200年住宅構想を具体化するため、立法化され、今年6月4日、長期優良住宅普及促進法として施行を迎えた。

 一定の条件を備えた長期優良住宅の建設に税制上の優遇が設けられているほか、民間金融機関が最長50年の住宅ローンを創設するよう住宅金融支援機構が支援し、建設を促している。

 また、同省は地域の中小住宅生産事業者も長期優良住宅の建設に取り組むようサポートするため、一定の条件を満たした事業者に対し、長期優良住宅建設費用の1割以内(住宅1戸あたり100万円が上限、1事業者あたり25戸を上限として)を限度に、補助金を交付する制度を設け、補助金申請エントリーの受付を始めた。8月7日まで受け付ける。

 事業者で対象となるのは年間の新築住宅供給戸数が50戸程度未満の事業者で、所管行政庁による長期優良住宅建築計画の認定を受け、建設過程を公開し、関連事業者や消費者らへ啓発を行うなどができることなどをあげている。また、補助金相当額は住宅の建設主や買主に還元することが条件になっている。

 長期優良住宅の認定基準は(1)数世代にわたり住宅の構造躯体が使用でき、通常の維持管理下で少なくとも100年程度は継続使用できる措置がとられていることなど、劣化対策ができていること(2)耐震性(建築基準法レベルの1・25倍の地震力に対しても倒壊しないことなど)(3)維持管理・更新の容易なこと(4)間取りの変更が可能など可変性を有すること(5)バリアフリー(6)省エネ(7)居住環境の維持、向上に配慮されていること(8)住居面積で戸建の場合75平方メートル以上、共同住宅で55平方メートル以上(少なくとも1つの階の床面積が40平方メートル以上)確保していること(9)将来を見据えた定期的点検、補修に関する計画を策定させていることなど、9項目をクリアしていることが必要。

 住宅はこれまで、完成日が命日といわれ、経年とともに資産価値が低下してきたが、長期優良住宅の出現で、資産価値をとどめ、長期にわたり快適に住まうことができる資産としての価値も高まることから、一般住宅に比べ当初の建設費に割高感はあるものの、「建て替えにかかる費用が削減され、結果的に負担が軽減されることになる」(同省)とみている。また、社会的効果としても建て替え頻度の大幅減少により、建設廃材の抑制や環境負荷の低減につながるとしている。
(情報提供:エコノミックニュース 編集:福角忠夫)