財政制度等審議会(会長・西室泰三東京証券取引所グループ取締役会長兼代表執行役)は「平成22年度予算編成の基本的考え方について」の審議結果をまとめ、与謝野馨財務大臣に建議した。
高齢化の下での社会保障制度のあり方については「社会保障制度が経済・財政ともに均衡がとれたものとなるよう、制度全般にわたり、給付と負担の不断の見直しを進める必要がある」とし、高福祉には高負担、中福祉には中負担、低福祉には低負担といった「給付と負担のバランスのあり方」について、継続的に議論していくことの必要を提示するとともに、国民的議論の中で選択していくことを求めている。
この中で、建議は(1)医療・介護のサービスコストの抑制、(2)世代間の公平の確保(負担能力に応じた公平な負担の実現など)、(3)自助・公助の役割分担などの視点から給付の重点化・効率化を図ることが重要。また、「将来世帯へ負担を先送りし、世代間の格差を更に拡大させることのないよう、安定財源を確保していくことが不可欠」とした。
安定財源については、社会保障国民会議の最終報告や中期プログラムで示された「消費税を主要な財源として確保するため、税制抜本改革の一環として実現する。その際に、消費税の全税収を年金、医療、介護の社会保障給付や少子化対策の費用に充てることにより、消費税の税収の全てを国民に還元し、官の肥大化には使わない」などの考えに基づいて、持続可能な社会保障制度の構築、安定財源の確保を国民的議論の中で進めるべき、とした。
そのうえで、22年度予算編成にあたっては、医師の確保対策など必要な対応はすべきだが、社会保障の分野でも、ムダ・ゼロの徹底や効率化、合理化など改革努力が必要で、歳出改革の基本的方向性は維持する必要がある、と社会保障費の取り扱いについても検討を求めている。
建議によると、平成24年度には600万人を超える団塊の世代が年金受給者になり始め、加速度的に高齢化がすすむ。一方で、少子化問題があり、「社会保障の安定財源が確保されなければ、極めて近い将来、社会保障制度の持続可能性は失われる。平成23年度以降、基礎年金の2分の1を国庫で負担するための具体的財源は手当てされていない」と深刻な状況を述べ、「一刻も早く安定財源を確保することが極めて重要」と警鐘をならし、消費税への取り組みの必要を前面に打ち出した。
(情報提供:エコノミックニュース 編集:福角忠夫)