茶系飲料水、盛夏に市場回復を図れるか?

2009年05月01日 11:00

 需要期の盛夏に向けて大きな商品展開が期待される茶系飲料市場。しかし近年、価格競争激化の影響で、茶系飲料の価値が低下し、09年3月までの販売数量は前期比3~4%減と苦戦している。

 これまで同市場のテーマは”おいしさ・健康・本格感”が中心だった。茶葉や抽出方法といった素材や製法で差別化を図ってきたが、消費者にその違いがうまく伝わっていなかったと言える。そこで今年になって各メーカーは、香りや温度帯、飲用シーンなど、新しい切り口の製品開発を活発に展開。緑茶飲料、ブレンド茶、烏龍茶、紅茶などの各カテゴリーに分類し、新商品の発売や定番商品のリニューアルなどを行っていく予定だ。

 例えば緑茶飲料市場では、伊藤園が、盛夏でのレジャー&スポーツシーンでの需要創造を図るために「お~いお茶」の冷凍販売を開始する。また、同社の定番商品である「ほうじ茶」「玄米茶」では、香りの違いをはっきりと出していく。キリンビバレッジは、すっきりとして飲みやすい現代緑茶として「生茶」をマイナーチェンジし、本格的な緑茶飲料との差別化を明確にしていく方向だ。

 ブレンド茶カテゴリーでは、コカ・コーラシステムが「自然のチカラで生きかえろう」というキャンペーンを打ち出し「爽健美茶」の健康価値を高めていくという。またアサヒ飲料は”朝の水分補給”というイメージ的な切り口で「十六茶」を訴求していく。また、紅茶飲料のトップブランド「午後の紅茶」を展開するキリンビバレッジは人気の「微糖」製品をシリーズ化。紅茶飲料市場での微糖カテゴリーの確立を狙っていく。

 茶系飲料に対しては、家でも簡単に作れる飲料水であるため「買うのがもったいない」という声がどうしても多い。そこで消費者に”選ぶ楽しさ”を提供することで新しい魅力を創出。ニーズの掘り起こしを再度行うことで、盛夏の最盛期にどこまで回復するかに注目が集まっている