PHS大手のウィルコムの喜久川政樹社長は22日の会見で、次世代PHSサービス「ウィルコムコアXGP」の試験運用を4月27日から始めると発表した。
この「ウィルコムコアXGP」は、現行よりデータ通信の速度が25倍となっており、速度が落ちがちの都市部でも快適なネット環境を保持できるという。さらに、300kmの速度で移動中でも通信を可能にすることから電車や車のなかでも大量のデータをやりとりできるのが魅力だ。料金は3000~4000円程度の定額制を予定している。
試験運用の内容とは、27日以降、協力法人を対象にノートパソコンなどに差し込んで使うカード型端末を無償で配布。地域は東京都内の山手線の一部にエリアを限定し、不具合などが起きないかどうかを実証実験する。その後、端末を貸与するモニターや地域を徐々に拡大し、10月には首都圏、中部圏、関西圏の県庁所在地、および近隣をテスト対象エリアとする予定。テスト期間後の2010年3月からは、本格的にサービスを開始し、東京23区及び主要沿線都市、横浜市中心部、川崎市中心部、大阪市中心部、名古屋市中心部、その他にもエリアを拡大していく予定だ。将来は、音声通信サービスも視野に入れているという。
これまでウィルコムはデータ通信や音声サービスに定額制を導入する戦略で加入者数を伸ばしてきたが、2008年の契約数は約5万の純減で、現在は加入者の激変に苦しんでいる。理由は各社携帯電話の通信速度がPHSを上回るようになったこと。また、データ通信サービスの法人顧客も新興のイー・モバイルなどに先を越されているのが現状だ。
この新たなサービスで起死回生を図るウィルコムだが先行きは不透明だ。すでに次世代の高速無線通信では、KDDI系のUQコミュニケーションズが「UQワイマックス」を試験運用中で、7月にも本格サービスを開始する予定だ。携帯電話各社も来年には、通信速度が現行より速い新世代サービスを始める見通しで、競争の激化は否めない。
次世代PHSを再浮上のカギとするウィルコムだが、この試験運用に行うカード型端末の無償配布がどれだけ話題となるかが期待される。