女性の3人に1人がDVの被害を経験

2009年03月31日 11:00

 2008年に全国の警察が認知した配偶者らからの暴力(ドメスティックバイオレンス=DV)は、前年比で20.1%も増えの2万5210件だったことが警察庁のまとめで分かった。5年連続の増加で、DV防止法が施行された2001年以降最多となった。また先日、内閣府が発表した「男女間における暴力に関する調査」(全国の成人男女5000人を対象に実施)の結果によると、妻の3人に1人は配偶者である夫から暴力被害を受けたことがあり、このうち1割超は命の危険を感じたと答えている。交際相手から暴力を受ける「デートDV」も回答の1割を超えるなど、改めてDV被害の深刻さが浮き彫りになった。?

 DV(ドメスティックバイオレンス)とは、直訳すれば家庭内における暴力行為のこと。日本では、家庭内暴力というと親子間のものというイメージが強いので、妻や恋人に対する暴力に関してはDVという表現が使われている。DVには、殴る、蹴る、髪を引っ張るというような『身体的暴力』の他、大声で怒鳴ったり脅すことで精神的な苦痛を与える『心理的暴力』、妻や恋人に性行為を強要したり避妊に協力しないなどの『性的暴力』などがある。また、「誰に食べさせてもらっているんだ」、「のろま」といったような言葉で相手を傷つける『言葉の暴力』、生活費を入れないなどといった『経済的暴力』、外出を許さない・電話やメールをチェックするといった『社会的隔離』など、さまざまなケースがある。どれも、身体的にも経済的にも弱い立場におかれた女性の自由と権利を奪う理不尽な行為であることは間違いない。

 DVには蓄積期・爆発期・安定期といったような一定のサイクルがある。蓄積期は、男性がパートナーである女性を思い通りにコントロールする願望を満たされていない事に対してストレスを溜めている時期になる。溜め込んだストレスは限界に達すると、些細なことで爆発し、突然暴力を振るい始める。これが爆発期といわれる期間だ。多くの場合が突発的なので、予測することが難しいとされている。暴力によってストレスが発散されると、穏やかな状態、つまり安定期(ハネムーン期)になる。この時は、比較的に安定した精神状態になり、すごく優しくなる男性が多いようだ。プレゼントを買ってあげたり、「俺が悪かった」と泣きながら謝罪したりするので、暴力を受けた女性は、「本当は優しい人」と思ってしまい、許してしまう。このようなサイクルが何度も繰り返され、女性は夫やパートナーの暴力から抜け出せなくなるようだ。

 DVは、男女の不平等な力関係から生まれくるとされている。女性の社会進出が当たり前となった現在でも、家事や育児で時間が裂かれてしまう女性は経済的に自立するのがまだまだ困難というのが現状だ。被害者の救済や自立支援など、社会全体のさまざまな取り組みが急務といえるだろう。またDVは直接的に暴力を受ける女性だけではなく、母親に対する暴力を目の当たりにした子どもに対しても大きな被害を及ぼすことになる。DVの被害から女性を守ることは、子供たちの健全な成長にも繋がり、理不尽な暴力を許さないより良い未来社会を築くことにも繋がってくると考える。