大橋洋治・日本経済団体連合会副会長で経営労働政策委員長(全日本空輸会長)ら4氏は2009年春季労使交渉の協議に向けてと題した座談会の中で、経営側の姿勢としてのそれぞれの見解を示した。大橋氏はこの中で「賃金改定を中心に厳しい労使交渉・協議になると予想される。減益傾向が一層強まるなか、ベアは困難とする企業が多いのではないか。労使は現下の経済状況について認識を共有し、次の飛躍につなげるための話し合いを行うことが重要だ。厳しい時こそ労使関係の真価が問われる」と労使ともに現況経済への認識の共有の重要さを指摘。他の3氏も経済状況に対する労使の認識共有の重要さを語るとともに、雇用確保について、特に精力を傾注すべきとの考えを示した。
このうち、日本経団連評議員会副議長・雇用委員長で王子製紙会長の鈴木正一郎氏は「雇用安定に向けた話し合いが優先となろう。働き方が多様化する中で雇用問題は過渡期にきている。労使間での話し合いはもとより、雇用のセーフティネット強化など政労使が協調して取り組むことが重要。企業は景気回復に全精力を注ぎ、働く場の創造に一層努力をしていく」としている。
日本経団連評議員会副議長・労働法規委員長で日本電信電話社長の三浦惺氏は「経済状況に対する認識を労使でしっかり共有し、将来の成長に向けた布石を打つことが重要だ。苦しい時こそイノベーションが生じ、必ず次への飛躍となる。今次労使交渉・協議では、賃金と雇用が焦点となろうが、喫緊の課題は雇用の安定であり、そのために企業は手段を尽くさなければならない」と雇用確保の重要性を強調した。
日本経団連労使関係委員会共同委員長で日清紡績会長の指田禎一氏は「労使で危機感を共有し一丸となってこの難局を打開する姿勢が重要である。従業員の価値観や働き方の多様化が進むなか、ワーク・ライフ・バランスの推進など課題解決型の労使交渉・協議を進め、日本企業の強みである現場力の強化、ひいては生産性の向上へとつなげていくべき時期に来ている」との認識を示した。