麻生太郎首相は2月3日の衆議院予算委員会で田野瀬良太郎衆議院議員(自民・奈良)の質問に答え、国家公務員が退職後に天下りを繰り返す、いわゆる「わたり」をはじめ、各省庁からの天下りの斡旋についても前倒しして、「(わたり、天下りともに)今年いっぱいで廃止する政令をつくりたい」と初めて、政令に踏み込んで、わたり、天下り全廃への決意を表明した。
麻生首相は1月29日の衆議院本会議で、わたりについては、「国民から厳しい批判を受けており、今後、斡旋の申請が出ても(わたしは)認める考えはない」との意向を表明していたが、野党はもちろん、与党の中からも、政令に手をつけなければ不十分との批判が相次ぎ、今回、政令に踏み込んで、事実上の政令見直しを表明した。
また、麻生首相は、この日、国会内で国家公務員制度改革推進本部第3回会合を開き、公務員制度改革の工程表を決定。「出来る限り改革を前倒し、改革全体の実施については5年以内としていたものを、4年以内に短縮すること」などを決め、改革への姿勢をアピールした。
具体的には、平成21年に新たな人事評価制度の導入を図り、能力・実績主義の人事管理の推進を図るほか、22年に内閣人事・行政管理局(仮称)の設置により、幹部職員などの一元管理を開始。政府全体を通じる国家公務員の人事管理に関する説明責任を果たす体制を整備する。23年には定年延長の検討など検討に時間を要する課題についての結論を得るとともに、24年までに新たな人事制度に移行し、基本法に基づく措置を全て実施したい、としている。