聳え立つ巨大な岩壁に挑む年 御手洗経団連会長

2009年01月07日 11:00

 御手洗冨士夫日本経済団体連合会会長は、2009年の展望として、ことしは「聳え立つ巨大な岩壁に挑む年」と位置づけ、「一国の危機は国内にとどまることなく、瞬時に世界を駆け巡る。米国に始まった金融不安はたちどころに飛び火し、先進国はもちろん、新興国や資源国を含めた世界経済全体を不況の淵に立たせることとなった」とグローバル化の流れが加速している中での、怖さと俊敏な対応の必要を強調した。

 御手洗会長は「世界経済は未曾有の危機にある。各国政府は緊密に連携し、採りうる政策を総動員して恐慌を回避し、難局の打開に努めることが求められている」とし、「まず景気回復に全精力を注ぎ、危機的な経済状況から抜け出さなければならない」とした。

 その際、(1)雇用の安定に手段を尽くす(2)官民協力して雇用保険等のセーフティーネットを強化する(3)働く場の創造と人材育成に一層努力することの重要性をあげた。

 雇用対策に続いて、(4)税制抜本改革やイノベーションの推進(5)電子行政の実現を含む成長力の強化(6)財政健全化と持続的な社会保障制度の確立(7)道州制の導入による地域経済の活性化などを柱とする諸課題に国を挙げて取り組む必要がある。また、「環境や貧困問題など、地球規模での解決が求められる課題も山積している。国際社会との協調の中で、国益を確保しつつ、これらの課題を解決しなければならない。希望あふれる未来への道筋を示すことが、わが国の責任を果たすことになると信じる」と語った。

 また、政局については「秋口までに必ず国政の指導者を選ぶ機会を迎えることになる。各党には、明確なビジョンに基づき、国会を通じて党利党略を超えた大胆な政策を議論することで国民に選択肢を提示してほしい。われわれは厳しい時代であればこそなおさらに、一人ひとりの選択がこの国の未来を左右することを肝に銘じたい」と各党が党としてのリーダーシップを国民に対して発揮するよう期待した。