一般用医薬品 通信販売認可は3類医薬品のみ

2008年12月29日 11:00

 厚生労働省はインターネットを含む通信販売による一般用医薬品の販売規制について、医薬品の副作用のリスク分類で「1類、2類の医薬品は禁止し、3類(約700成分、整腸薬やビタミン剤など)のみを認める方向で省令を公布する」意向を固めた。同省では「パブリックコメントで提示した案を早く公布したい」と話している。

 また、高齢者や僻地などで2類の医薬品が通信販売で買えなくなれば、こうした人たちのことはどうなるのか、については「言われるように、個々のケースはあるが、全体を通しての話として第3類のみにすることが妥当と考えている。必要とされる方のかわりに、ご家族などが薬局・店舗を訪ねられて医薬品を購入する、あるいは、配置販売による医薬品の配置等によって購入するなどの方法があると考える」と話している。3類医薬品は一般用医薬品市場全体の4割台を占めている。

 一般用医薬品の通信販売については「すべての一般用医薬品の通信販売を認めるべき」との意見を政府の規制改革会議が同省に出した。

 これに対し、同省はインターネットを通して販売された医薬品による副作用の被害事例を示すとともに、規制改革会議が「一般用医薬品の購入に郵便その他の方法に頼らざるを得ない消費者への影響についてどう考えるか」と質したことについては「薬事法改正の全体を見れば、登録販売者等を確保することにより、コンビニエンスストア等における販売等が容易となり、コミュニケーションや製品入手にタイムラグが発生するインターネット等による販売に比べ、消費者はより身近なところで、的確な情報を得ながら、一般用医薬品を購入できるようになる」と回答。

 また「郵便その他の方法に頼らざるを得ない消費者が、高齢者、障害者、妊婦、育児中の方であるならば、誤った医薬品の使用により重大な副作用被害の発生につながるおそれがあるため、より一層適切に情報提供を行い、一般用医薬品の適切な選択、購入及び適正な使用を担保することが必要と考えている。これらの方に対しては、医療機関への受診や福祉サービスの利用のために外出した際に医薬品を購入することや、これらの方から依頼を受けた家族などが薬局・店舗を訪れて医薬品を購入すること、配置販売による医薬品の配置等によって、一般用医薬品を購入すること等が可能であり、このようなルートを通じて、適正な情報提供を行うことが大事であると考えている」と回答した。

 また、規制改革会議が省令で規制するのは、法の授権範囲を超えているとしていることについて「インターネットを含む一般用医薬品の通信販売については、これまでも、通知により、かぜ薬や漢方製剤等を除く一定範囲の医薬品に限って取り扱うよう指導してきた。今回の制度改正により初めて販売対象範囲が限定されるものではない」と反論。加えて「法改正により、リスクの比較的高い医薬品(第1類医薬品、第2類医薬品)については、専門家(薬剤師、登録販売者)が情報提供を行うこと及びその詳細は厚生労働省令で定めることが法律に明記された。これに伴い、今回の省令案では、インターネット等の通信販売については、販売時に予め情報提供が不要な第3類医薬品を販売可能な範囲とすることを規定することとしたものである。したがって、今回の省令案の内容は法律による委任の範囲内」と適法な措置であることを強調。改正省令については「パブリックコメントで提示している案をベースに速やかに公布したい」とした。

 規制改革会議の指摘部分も踏まえて、同省では「安全確保のための具体的な提案が今後、インターネット販売の団体等から示された場合には、幅広い関係者で議論することを検討したい」と、再考の余地は残している。