出産一時金前払いで舛添大臣 課題議論し良策を

2008年11月06日 11:00

 小子化対策の一環として、子どもを出産しやすい環境づくりをと政府は妊婦の健診について、現行の「5回まで無料の健診」を「14回すべて無料にする」ことで、与党と合意。実現に向け前進したが、舛添要一厚生労働大臣は健診とあわせて検討されている「出産一時金の前払い」について、「一部の報道では政府・与党ですでに決定したかのような報道がありましたが、改革の方法、手法は様々。従ってこれを良く検討した上で最終決定を下したい」と、自ら課題を指摘し、最良の方法を選択したい旨を語った。

 舛添大臣は、まず、出産しやすい環境づくりについて「妊娠、その後の健診、出産に対し、貧しいからとか、今手元にお金がないからということであきらめるということがあってはいけません。したがって、例えば、若い夫婦が子供を持ちたいと思った時に経済的理由でそれを断念するということは絶対あってはいけないと思いましたから、この間、あらゆるところでそれを申し上げておりましたし、一歩一歩そういう政策の実現に努めて参りました。先般、緊急経済対策の一環として、5回まで無料の健診を14回すべて無料にするということで政府・与党の合意を得たところでありますが、次なるステップは、出産一時金の改革をやらないといけない」とした。

 そのうえで、改革すべき点について「一つは今35万円なのですが、建前上は出産した時にまず自分でお金を払って、そして出産証明書等、様々な書類を揃えて、後でそのお金を償還してもらうという形になっております。便宜上、そのプロセスを省いている市町村、保健所もたくさんありますが、これをまさに直接払いにすることによって、一度自分のポケットから35万円を出さないといけないという状況は改善すると思いますので、その改善が第一です。その改善の方法というのは、例えば、保険で最初から全部みたらどうかという案もあるのですが、出産というのは正常分娩の場合は病気ではないので保険が適用できない。異常分娩の時にはそこから先は保険になります。ですから、一つの案は全部保険で行うということも考え得ると思います。これもこれからの議論の一つの課題であろうと」と出産一時金の前払いについて課題のひとつを指摘した。

 二つ目の課題として、同大臣は「出産の費用について、実際必要なのはどれくらいなのか。各地域の国立病院などのデータを集計して出したのが今の35万円ということですが、地域によって差があります。ですから50万円掛かっているところは35万円だと15万円持ち出しになる。20万円しか掛かっていないところは35万円いただければ15万円余分に手にいれることができる。地域によるこういう不公平に対してどうするのか。それは是正すべきであるという考えもありますし、そういうことを是正すると更に地域格差が広まってくると、どこに行っても35万円なら、それでは里帰り出産しようかと、けれども東京で産むのなら50万円もらえて、自分の田舎に帰ったら20万円しかもらえないなら里帰りするのやめようかということにもなりますので、これは賛賛否両論あり得ると思います。ですから、こういうことを良く議論をし、その上で政府・与党でどういう方向を出すかというのはこれから詰めていかないといけない」と話した。