独立行政法人水産総合研究センターは、世界で初めてズワイガニの種苗量産に成功した。
同センターによると、ズワイガニはふ化してから約2ヵ月かけて、第1齢ゾエア期、第2齢メガロパ期へと脱皮を繰り返しながら稚ガニになる。この間の飼育は細菌感染症が発生するなど非常に難しく、1969年に福井県水産試験場が世界で初めて稚ガニの生産に成功してから2002年までは年間で最高1500尾に留まっていた。1984年からは小浜栽培漁業センターで放流を目的とした種苗生産技術の開発を開始し、2003年以降の量産試験で稚ガニの生産が最高で8900尾となった。
その後、2005年まではゾエア期の飼育条件の解明に取り組み、10万尾規模のメガロパの生産が可能となり、2006年からはメガロパ期の飼育条件の解明に取り組み、水槽底の沈殿物による細菌感染防止のためゾエア期の後期に新しい水槽へ移動させることや、適正飼育水温を把握したことにより大型水槽を使用した量産規模での飼育に成功し、本年5月に過去最高の稚ガニ1万8366尾を生産することができた、という。
同センターでは「今後は、生産した稚ガニを活用したズワイガニの生態を解明するための長期飼育試験や、資源管理の手法として魚礁への放流試験などへの利用が考えられる」としている。