社団法人日本経済団体連合会は2008年度総会を開き、御手洗冨士夫会長の再任を決めたほか、今年度の総会決議を行った。決議は「グローバル化の加速に加え、経済が減速しつつある中でのエネルギー・資源価格の高騰や地球温暖化問題への対応、国際金融不安など、企業の経営環境は一層厳しさを増しており、少子化・高齢化の進行とともに、深刻な財政赤字や社会保障制度への不信が、この国の将来に影を落としている」と総括しながら、こうした「逆境を飛躍の好機に変える」としている。
具体的には6本の柱を掲げ、(1)成長力強化に向けて民間活力を引き出す。例えば、先進的な電子行政・電子社会の実現を起爆剤として、社会全体の効率性・生産性を向上させ、産業の競争優位を確保する。研究開発の促進、人材育成の強化、産学連携や知的財産政策の強化、教育の充実などを図ることで、イノベーションを加速する。洞爺湖サミットの議長国として、低炭素社会実現に向けて、省エネルギー、原子力、再生可能エネルギー等におけるわが国の技術的な強みを活用しつつ、革新的な環境・エネルギー技術の開発・普及を促進し、すべての主要排出国が参加する地球温暖化防止のための国際的な枠組み作りをリードする、としている。
次いで(2)経営環境を整備し、競争力を高める。例えば、国際競争基盤を整えて持続的な経済成長を確保するため、法人税制や経済法制の見直し、国際標準化政策などを戦略的に推進する。労働力人口の減少が加速する中で、女性や高齢者を含む全員参加型社会を構築し、良好な労使関係のもとで、働き方の多様化や従来の人事・賃金制度の見直しを通じた仕事と生活の調和を推進し、経済の活力を維持する。
(3)国民の安全・安心・希望を確保する。例として、持続的な社会保障制度の確立、財政の健全化を図るため、消費税等の安定財源の拡充を含め、歳出入両面にわたって抜本的改革を実行する。エネルギーの安全保障や食料の安定確保のためにも、戦略的な資源外交や農業の活性化・競争力強化等に取り組む。
(4)自立した広域経済圏の確立と真の住民自治を実現する道州制の導入を推進するとともに、国と地方、地方間の重複事務の排除などを通じた行財政改革に取り組むなど、地域の活力で日本全体の豊かさを向上させる。
(5)対日直接投資の促進、外国人材の活用、留学生の受け入れ・送り出し拡大、貿易諸制度の改革等を通じて構造改革を促進し、日本経済の成長につなげるなど、世界経済のダイナミズム発揮を担う。
(6)政策を軸にした政党支援を通じて、各政党が政策面で切磋琢磨し、建設的な協議を積極的に進め、迅速な改革が実現するよう働きかける。あるいは、企業倫理の確立、社会的責任の遂行に全力を傾注するなど、透明で公正な経済社会を構築する、としている。