独立行政法人森林総合研究所は、山地斜面で地下水の集中する場所に発生する音を探知し、豪雨時に山崩れの起きやすい場所を予測する方法を開発した。
方法は、地下水が流れる時、発生する曝気音の強弱を測定する地下流水音探査技術を開発し、山崩れの起きる危険性が高い地下水の集中する場所を探知するもの。
この技術を使って雨の少ない時期に地下水が集中している場所を特定し、山崩れが発生する危険性が高い場所を予測したところ、その後の大雨で実際に山崩れが起きたことが分かり、この方法の有効性が確認されたとしている。
試みられた調査では、既に山崩れが起きた場所で地下流水音の強さを調べ、音の強さを測定すると、山崩れの起きた場所では周囲に比べて地下水の流水音が強くなっており、谷型・尾根型など斜面形状や地質の種類に関係なく多くの斜面で確認された。
以上のことから、山の中で地下水の発生する場所を知ることが、山崩れの場所を予測するために重要であることが明らかになった、と説明。
また、雨による地下水が岩盤の亀裂や土粒子のすき間(間隙)に入り込むと、間隙中の空気を押し出し、間隙に気泡が生じ、これが割れると「コロコロ」・「ボコボコ」・「ゴー」などの曝気音が生じる(地下流水音)。地下水が多く流れている場所ほど大量の気泡がはじけ、地下流水音の強さが大きくなるため、地下流水音探査は、平常の降雨後に高感度の聴診器を使って音の強い場所を探すことで地下水の流れる場所が特定できる。
また、夏期の降雨の少ない時期に林道のり面で、今後崩れる危険性の高い場所の予測を試みたところ、のり面に地下水が集中し、崩れる危険性が高いと考えられる地下流水音の強い場所が発見され、その後、この危険と判断された場所で、秋期の台風に伴う大雨で実際に山崩れが発生した。以上のことから、手法が山崩れの危険性の高い場所を探すのに有効であることが確認できた、と説明している。