国連・水と衛生に関する諮問委員会が日本に期待

2008年05月30日 11:00

 国連「水と衛生に関する諮問委員会」第10回会合が、5月26日から28日まで、東京で開催され、2006年に諮問委員会が取りまとめた「橋本行動計画」の実現に向け、日本政府機関の具体的な行動や提案について意見交換が行われ、諮問委員会から、これまでの取り組みに感謝の意が表明されるとともに、日本政府が第4回アフリカ開発会議(TICAD4)や北海道洞爺湖サミットなどにおいて、アフリカ問題への対処をはじめ、水と衛生問題でリーダーシップを発揮していくことに対する期待が表明された。

 諮問委員会の日本との対話には小町恭士外務省地球環境問題担当大使や谷口博昭国土交通省技監ら6人が出席。諮問委員会側からオランダ国皇太子ウイレム・アレキサンダー殿下はじめドイツ連邦国会議員のウッシー・アイト氏、エジプト水資源灌漑大臣のマフムード・アブ・ザイド氏、ウガンダ水資源・国土・環境大臣のマリア・ムタガンバ氏、アフリカ開発銀行名誉総裁のオマール・カバージュ氏らが参加した。

 橋本行動計画は2006年3月にメキシコで開かれた第4回世界水フォーラムにおいて、水と衛生の6分野で各国政府や国際機関が取るべき具体的行動を提案し、行動実現に向けた活動内容を明らかにしたもので、計画は2008年を「国際衛生年」と定め、国連地域事務所が各地域でハイレベルな会議を開催することを示したほか、水と災害についても「国際社会が、世界的に統一された政治的な意思に基づき、水の災害に起因する生命・生活の損失削減に向けた世界行動の指針を表明した明確な目標を設定する必要がある。国と地方の政府は、災害発生中あるいは発生後の安全な飲料水と衛生の即時の提供を確保すべき。諮問委員会はそのような努力を支持し、国際社会による共通の目標の実現に向けて関係者と協力する」ことを示している。

 国土交通省の谷口技監は水と災害に関して「水と災害に関するハイレベルな専門者によるパネル」の活動を支援し、基準、技術経験、伝統的知識、地域活動の情報を提供する一方、水災害の軽減に向けた政治的な意志の形成を図る。途上国のニーズに適した形で、ハード・ソフト両面の技術移転を促進する。移動式海水淡水化装置など災害や事故など緊急時に水供給が可能な、技術の普及と開発を促進するなどを説明。衛生面(下水)では「我が国の多様な技術の蓄積をもとに、下水道整備や人材育成など各途上国のニーズに応じた最適な支援を展開する」とした。