第46回衆議院議員選挙は480議席(小選挙区300、比例180)のうち自民が294議席(237、57)、公明が31議席(9、22)と自公で325議席を獲得する大勝となった。
一方、民主は藤村修官房長官ら閣僚の相次ぐ落選など、改選前の231議席から57議席(27、30)にまで議席を減らす大敗となった。小選挙区で生き残ったのは27人だった。
第3極として注目された日本維新の会は改選前の11議席から54議席(14、40)に躍進。民主に次ぐ勢力になった。みんなの党も改選前の8議席から18議席(4、14)に躍進した。
卒原発を前面に戦った日本未来の党は改選前の61議席から9議席(2、7)に、日本共産党は1議席減り8議席(比例8)、社会民主党は3議席減り2議席(1、1)、新党大地も2議席減り1議席(比例1)、国民新党は1議席減り1議席(小選挙区1)。新党日本は唯一の1議席を失い、新党改革は議席獲得がならなかった。残りの5議席は無所属だった。
今回選挙では投票率の低さが目だった。投票率の低い分、組織力の差がそのまま、選挙に映し出される格好になった。民主政権になっての3年の間に、政権奪還を図る自民党は地方組織力の強化、後援会組織や自治体の保守層の地方議員などを通して裾野拡大に努めてきた。一方、民主党は与党になっても地方組織の拡充など裾野拡大、強化にどこまで取り組んだのか、次期、参議院選挙に大きな課題が残った。
自公の政権復帰。しかも、参議院で法案が否決されても再可決できる3分の2(320議席)を上回る325議席を確保する大勝になった今回の選挙。自民圧勝で自民の公約が大きな関心を呼ぶことになった。
選挙中、自民党の安倍晋三総裁は「公約には出来ることしか書いていない」と街頭演説のたびに強調してきた。憲法改正も自民と類似の考えを有する日本維新の会が賛成すれば自公以上に「自民・維新」で348議席にもなる。
憲法改正で自衛隊を国防軍とすることを公約する自民党と自主憲法制定を公約に掲げる日本維新の会が改正への動きに拍車を掛けることは明らかだ。ただ、現行憲法(第9条)の下で、自衛隊の肥大化に歯止めがかかってきたが、国防軍としての位置づけで、肥大化する可能性が高まることや自民党の憲法草案では政府とともに国を護る国民の義務として徴兵制が出てくるのではとの懸念が払拭されていないなどから、国民の反発が予想され、参議院選挙を来夏に控えて、早期に表面化させるのは参院選挙に不利との見方もあるため、来夏の選挙後になりそう。
むしろ、来夏の選挙までに、防衛力の判断基準や国民が懸念する徴兵制を法制度として可能にするのかどうか。自民党の憲法草案に照らして、自民党は「徴兵制をとらない」ではなく「とれないのか、とれるのか」その点を明確にすべきだろう。
また、集団的自衛権の行使について、自民党は現行憲法での解釈変更で可能にしたい考えだが、連立与党の公明党は従来の政府見解(集団的自衛権は有するが行使できない)を妥当としており、この点での公明党の姿勢が注目される。(編集担当:森高龍二)