来年5月21日から裁判員制度がスタートするが、最高裁判所が今年1月7日から2月4日にかけて全国の20歳以上の1万500人を対象に裁判員制度の関する意識調査を実施した結果、94・5%が裁判員制度を「知っている」と回答し、自分が裁判員に選ばれた場合に「参加したい」「参加してもよい」「義務なら参加せざるを得ない」とする人を合わせると、20歳代から60歳代の65%の人が制度に参加する意向であることが分かった。最高裁では「裁判員制度について知っている事柄が多いほど裁判に参加することへの心配や支障が低く、参加の意向が高いという関係が出ていた。制度施行までの1年間に、関係機関と協力し、様々なメディアを通して疑問や不安を解消できるよう分かりやすい情報を提供していくことが重要と考えている」として制度を分かりやすく広報することに務める意向だ。
調査では制度に関する基本事項(10項目)について、知っていることが「ひとつもない」との回答は5・5%にとどまり、何らかの情報を94・5%の人は知っていた。項目の中で最も知られていたのは「制度がもうすぐ始まる」の90・1%。「国民が裁判官と一緒に有罪・無罪などの判断を行う」(87・7%)、「有権者は原則として、誰でも裁判員に選ばれる可能性がある」(82・0%)、「何人も裁判員の名前や住所などを公にしてはならない」(70・4%)、「70歳以上、重要な仕事、介護養育などを理由に裁判員を辞退することが可能」(55・9%)などで、これらのことは半数以上の人が知っていた。一方で「約7割の事件は3日以内で終了するみこみである」(13・9%)、「裁判員など選任手続き期日の6週間前までに通知が届く」(13・1%)、「裁判員、裁判員候補には旅費や日当が支給される」(28・7%)、「裁判員は守秘義務を負うが、法廷でのことは話してもよい」(29・6%)などの情報を知っている人は少なかった。
裁判員制度を知っていた人の情報入手先は「テレビ」が最も多く89・9%。次いで「新聞」(59・0%)、「家族、友人、知人」(11・3%)、「ラジオ」(10・0%)、「インターネット」(6・8%)だった。20歳代、30歳代、40歳代はインターネットからの情報と言う人は10%台から13%台になっていた。特に学生では27・5%がインターネットから知ったとしている。
裁判員として参加する意向のある人は若年者になるほど、高くなっている。一方で、参加への不安や支障については「判決で被告人の運命が決まるため責任を重く感じる」が75・5%。「素人に裁判が行えるのか不安」が64・4%、「裁判官と対等な立場で意見を発表できる自信がない」が55・9%と心理的な不安が上位を占めていた。「仕事に支障が生ずる」は全年齢の平均では36・7%だったが、30歳代(48・0%)、40歳代(53・6%)、50歳代(48・6%)では約2人に1人が支障が生ずると回答していた。
また、未就学のこどもがいる、小学生がいるという人では約3人に1人が、介護を必要とする家族がいる人では2人に1人が支障が生じると回答しており、こうした人たちが参加できる環境づくりの必要性が浮かび上がっている。