国民生活審議会個人情報保護部会が示している個人情報の保護に関する基本方針の見直しについて、日本経済団体連合会情報通信委員会情報化部会ITガバナンスワーキンググループは「個人情報に対する意識が国民に根付きつつある一方、個人情報保護法の個人情報の活用と保護のバランスを図るという趣旨が国民に必ずしも正確に理解されていない面があるのも事実で、今般の基本方針見直しを契機に個人情報保護法の正確な理解を一般に広く浸透させ、ひいては個人情報を保有する事業者のより適切な個人情報の取扱い、より効率的な情報管理につなげるために、政府がイニシアチブを執り、基本方針の周知徹底を図ることを強く希望する」との意見を公表した。
その中で、「いわゆる過剰反応への対応」については、あえて「過剰反応」という言葉を用いて、政府としてより積極的に広報・啓発活動に取り組む決意を表明したことは評価に値する。
また、国の行政機関、地方公共団体、独立行政法人等における個人情報の取扱いについて、法律・条例の適切な解釈・運用を明記したことも「過剰反応」抑制に有効な対応であると考えられる。
ただし、一連の「過剰反応」への対応の反動で、個人の権利利益保護が疎かにならないよう注意を払う必要はある。
一方、「個人情報保護に関する取りまとめ(意見)」で指摘しているように、行政機関が行政機関個人保護法を理由に、本来公表するべき公務員の情報を公表しなくなった「官の過剰反応」も散見される。
国の行政機関等における個人情報の提供については、必要性が認められる場合は個人情報の公表は可能となっており、情報提供の意義を踏まえた上で、行政機関個人情報保護法の適切な運用が図られるよう、行政運営上の改善に取り組んでいくべきであるとしている。