シニア世代、4人に1人の金融資産が増えるも「消費しようとは思わない」

2013年07月17日 19:02

6~4年前にかけて盛んにうたわれた、団塊世代の「退職バブル」。消費意欲が旺盛な彼らが定年退職を迎えることで、シニア市場が勢いづくといわれていた。だが市場は今ひとつ盛り上がりに欠けているようにみえる。お年寄り世代はどうしてお金を使わないのだろうか。

これに関して興味深いデータがある。株式会社シニアコムが50歳以上のシニア世代約900名にたずねたところ、全体の約4割が1年前と比べて「収入が減った」と回答。「収入が増えた」は1割にも満たない。

 一方、昨年と比べて「保有する金融資産が増えた」は28%。収入が減ったシニア世代も多い一方、約4人に1人は金融資産が増加しているという。理由は「国内景気の上昇」と「資産評価額の上昇、配当・金利」。アベノミクスの影響を受け、金融資産を増やしたシニア世代が多いことが伺える。収入は減っても、保有していた株式や投資信託などが増えたお年寄りが相当いるということだ。

 しかし増えた分を消費に回そうとする人は少ない。「消費しようと思う」というポジティブな回答は2割前後で、守りの姿勢が目立った。63歳女性「家電が壊れたら買い換える程度で、欲しいものがない」。74歳男性「使わなくてもいい金は使わないようにしている」など、とにかく彼らは消費に消極的なようだ。

 調査したシニアコムによれば、50歳代以上の世代はこれまでに幾度も好況・不況の波を経験しており、そのたびに多くの消費経験を積んできた「熟練消費者」。そんな彼らは今後の生活における突発的な出費や資産の目減りを不安に感じており、家計に安心を求めているという。

 今年3月には日経平均株価がリーマン・ショック前の水準を回復したが、市場は乱高下気味で落ち着かない。もともと慎重なシニア世代が、急に財布の紐をゆるめる可能性は低いだろう。

 だが内閣府の高齢社会白書によれば、20年後には65歳以上のお年寄りが人口の3人に1人を占めるまでになる。現役世代の人口が先細るなか、シニア世代の資産が消費に回らないことには日本経済の未来に明るい展望は開けないだろう。(編集担当:北条かや)