畜産事業の海外進出は成功するのか

2012年12月19日 09:41

 ジェトロのデータによると、2012年1月~9月の実質GDP成長率が4.7%と、前年同期と比べれば成長が鈍化しているものの、依然として堅調に推移しているベトナム。人口も8784万人と内需が大きい市場であり、また、その人口は依然として増加を続けている。この人口増、特に食肉消費の拡大に対応するため、政府方針により、鶏肉の増産が計画されている。

 こうした中、双日と国内大手ブロイラーインテグレーターである児湯食鳥が、ベトナムのユニテック・エンタープライズ社と組み、ブロイラー養鶏事業による進出を前提とした事業検証を行うと発表した。前記政府方針では、養鶏生産羽数を2010年の2億2千万羽から2020年に4億5千万羽へと倍増させる予定となっている。この方針の後押しを受け本事業では、ホーチミン近郊にて試験規模によるヒナ生産から養鶏・加工・販売を通して事業性の検証を行った後、2013年度中を目途に合弁会社を設立し、当面1200万羽/年の生産・販売とし、将来的には3000万羽~5000万羽/規模まで、ベトナムで拡大するという。

 双日にとって今回参入するブロイラー養鶏事業は、未進出であった畜産分野への進出となり、製粉事業や食品卸といった先行事業との相乗効果が期待できるものである。また将来的には、双日協同飼料より、養鶏の生産効率を向上させる高品質の配合飼料を供給することを検討しているとのこと。また児湯食鳥は、日本国内で約10%のシェアを持ち、生産から製造・販売までの高度な養鶏事業経営ノウハウを活用して、鶏肉一貫事業を展開。さらにユニテック・エンタープライズ社は、2003年より食鳥処理事業に進出、系列農場を保有し養鶏も手掛けるとともに、種鶏農場(ヒナ生産農場)の運営にも着手している他、ベトナム国内向けに鶏肉加工品販売も展開、同国最大規模の食肉処理場も保有している。これだけのネットワークや事業ノウハウをもってすれば、目指す同分野でのアジアNo.1の地位も現実的と言えるのではないだろうか。製造業が不振にあえぐ中、今後は畜産業の海外進出が活発化するのかもしれない。(編集担当:井畑学)