「女性活躍大臣」に「地方創生大臣」・・・乱造される閣僚ポスト、その役割は?

2014年09月19日 12:10

画・「女性活躍大臣」に「地方創生大臣」・・・乱造される閣僚ポスト、その役割は?

第2次安倍改造内閣で、今まで聞いたことのないポストがいくつもあることに驚いた人もいたのではないだろうか。今回注目を集めたのは安全保障法制担当大臣、地方創生大臣、だが、その他にも「水循環政策担当」や「クールジャパン戦略担当」など、耳慣れないポストは数多い。

 9月3日に発足した第2次安倍改造内閣で、今まで聞いたことのないポストがいくつもあることに驚いた人もいたのではないだろうか。今回注目を集めたのは安全保障法制担当大臣、地方創生大臣、女性活躍担当大臣、そして沖縄基地負担軽減担当大臣だが、その他にも「水循環政策担当」や「クールジャパン戦略担当」など、耳慣れないポストは数多い。

 これらは内閣が設置する「特命担当大臣」という閣僚ポストだが、その中にも必ず設置しなければならないものと首相が自由に設置できるものがある。必置が定められているのは「沖縄及び北方対策担当」「金融担当」「消費者及び食品安全担当」の3大臣で、自由が利かないためか他のポストと兼務とされることが多い。例えば今回の内閣でも、沖縄・北方担当は山口俊一氏が宇宙政策・IT政策・再チャレンジ・クールジャパン戦略という全く異なった様々な分野とともに担当をしている。この山口氏の5つの担当のうち、沖縄・北方と宇宙政策は「内閣府特命担当大臣」の枠内に記載されており、その他の3つは単なる「担当」であることがわかる。実はこの特命担当大臣には「内閣府特命担当大臣」と「特命事項担当大臣」の2つがあるのだ。

 内閣府特命担当大臣はその名のとおり内閣府に置かれ、ある程度継続的な政策を担当する。そして単なる「担当」とされているのは首相の目玉政策を推進する「特命事項担当大臣」だ。冒頭に挙げた閣僚ポストはどれもこの特命事項担当大臣であり、首相の決裁で自由に設置できる。しかし、首相が自由に設置できるからといって際限なく増やせるわけではない。なぜなら閣僚の数は法律で18人までと決まっており、自ずと数に限りがでてくるからだ。注目政策を推進する姿勢をアピールできるとなればたくさんのポストを設けたいと思うのは仕方のないことだが、山口氏のようにいくつもの異なった分野を担当していて実際に機能していると言えるのだろうか。

 改造前の安倍内閣では森雅子氏が少子化、消費者、女性活力・子育て支援、男女共同参画、特定秘密保護法を兼務し、同法の審議が進められる間その他の担当業務がおろそかになっているとの批判も受けた。重要なのはポストが存在するかではなく実際に政策が推進されるかだ。政策推進の決意は、ポストの乱造ではなく着実な実行で示してほしいものである。(編集担当:久保田雄城)