日本ではまだ出たばかりという感じの7代目シボレー「コルベット」。早くも15年型が登場した。
2015年型の大きなポイントはGMが新たに開発したハイドラ・マチック「8L90」型パドルシフト付き8速ATを採用したことだ。この8ATは、ずば抜けた洗練度とデュアル・クラッチ・トランスミッション(DCT)に勝るとも劣らぬシフトレスポンスを実現しているところ。実際フル加速時には、競合車のポルシェ911の7DCTよりも素早くシフトアップし、0~96km/h加速を3.7秒(14年型6ATは3.8秒)で走り抜けるという。
7代目コルベットは去年6ATを搭載して登場してきた。筆者は今年か来年に7DCTを採用して登場してくるだろうと考えていた。6代目コルベットもデビュー時4ATで登場しその後6ATに変更したというのもあったからだ。そして世界のスーパーカーはどれもDCTを搭載する流れにあり、世界最高を目指すコルベットもその流れに乗ると考えていたからだ。しかし実際にはトルコン型8ATを搭載してきた。
DCT登場時からトルコン型ATはDCTより効率に劣ると言われてきた。トルコン型ATはエンジンとミッションの間に「ATフルード」というオイルがありそのオイルによって繋がっているからだ。
しかしトルコン型ATは決して悪いものではない。渋滞時にクリープ現象を利用したスムーズな加速を提供してくれたり、シフトショックがとても小さい。当時、筆者はどこかの企業がトルコンATの良さとDCTの良さをミックスしたトランスミッションを開発しないかな?と考えていた。
そこに登場したのが07年のレクサス<7203>「IS-F」だった。IS-Fに搭載されているアイシンAW製の8ATは1速こそトルコンを利用した普通のAT的な乗り味だが、2速以降はロックアップ(ATフルードではなく機械的な直接接続)で繋がるようになっている。
その後、ロックアップを多用するトルコンATが様々なメーカーから登場した。マツダ<7261>の「SKYACTIV-DRIVE」やジャガーの「F-Type」用8AT、IS-F用の8ATも進化し様々なレクサス車に採用されている。
1000万円を超えるプレミアムカーにはDCTではなくトルコンATを採用し続けるものが多い。細かいショックやスムーズさ等プレミアムな乗り味にはまだトルコンATが良いというのがあるのだろう。そういえばホンダ<7267>からはトルコンDCTが登場した。
エンジンVSモーターだけじゃなく、トランスミッションの争いも続きそうだ。(編集担当:久保田雄城)