アップル社の次なる「再発明」はやはりTVになるのか

2013年01月21日 11:22

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いよいよリンゴマークのテレビが登場するのではないかという噂が真実味を増してきた。

 Appleの創業者であり、稀代のカリスマ経営者として今なお信奉者の多い、故・スティーブジョブズ氏。そのジョブズ氏が生前「再発明する」課題として挙げていたとされる項目が3つある。その3つとは、「教科書」「写真」、そして「テレビ」だ。否応なしに顧客の興味をかきたてる「再発明する」という大胆不敵で独創的な言い回しは、いかにもジョブズ氏らしい発言だが、それが具体的にどんなものなのかは、未だに謎に包まれている。

 Appleではすでに、2006年から「AppleTV」(アップル ティーヴィー)というセットトップボックスを開発、販売しており、iTunesを通して、同社のデバイスへのビデオコンテンツの配信や視聴、また直接コンテンツを購入したり、映画の視聴もできるようになっている。

 しかし「再発明する」といえるほど、大げさなものではない。しかも、Appleがテレビを再発明するプロジェクトに乗り出したのは「AppleTV」の発表より一年後の2007年。つまり全くの別プロジェクトというわけだ。そして昨年の後半あたりから、にわかにAppleテレビの開発の噂が頻繁に聞こえていることからも、Appleがいよいよ「再発明」したテレビを発表するのではないかという見方が強まっている。

 まず、昨年10月には「The New York Times」が、Appleが2012年後半にSiri対応のテレビを発表し、2013年に発売する可能性があると報じた。かねてより、Appleは、扱いにくくて分かりにくいリモコンの代わりになるインターフェイスとして、Siriのような音声で認識するシステムの導入を検討しているのではといわれていた。しかも、Appleはこれに先駆けて、身体を使ったジェスチャーで認識するシステムの特許を取得したといわれており、Siriに加えてジェスチャーによってもテレビを操作できるようにするのではないかといわれている。テレビに直接話しかけたり、身振り手振りだけでテレビ番組やウェブコンテンツを見る事ができたりするのならば、確かにテレビの概念が大きく変わるかもしれない。

 また、その噂を後押しするかのように、昨年末12月には、シリコンヴァレーの有名ベンチャーキャピタリストであるマーク・アンドリーセンが「DealBook」カンファレンスの席上において「シリコンヴァレーで、もっともよく知れ渡った秘密」と前置きを加えた上で、Appleが開発中とされる大型画面テレビについて「2013年から2015年までの間には何らかの製品を投入してくるだろう」語っている。信憑性についてはいささか疑問が残るものの、シリコンヴァレーで大きな影響力を持つアンドリーセンの発言だけに注目が集まっている。

 また、Appleが各部品メーカーと交渉をはじめているという情報もあり、液晶の供給源に至ってはシャープとの話し合いを進めていると具体的な名前も挙がっているほどだ。これらの動きから、アナリストの間では、早ければ13年末には発表されるのではないかという見方をしているが、あくまで今の段階では憶測の域を出ない。

 ともあれ、地デジ移行の買い替え需要の反動もあり、日本の大手メーカーが軒並み「テレビが売れない」と苦戦を強いられている中、Appleがテレビを開発するというだけで、これだけ世間に待ちわびられているのは非常に興味深い現象である。

 未だ噂の域を出ないAppleテレビではあるが、一つだけ確実なことは、発表されると大きな話題を呼び、発売とともに消費者がこぞってそれを買い求めるであろうということだ。そう考えると「テレビが売れない」のではなく、「消費者が欲するテレビがない」というのが現状ではないだろうか。(編集担当:北尾準)