非接触で心拍間隔を計測する生体情報センシング技術

2016年01月26日 08:20

 近年、生活習慣病の予防や日々の健康増進のために、様々な生体情報を常時モニターし、管理したいという要望が高まり、小型で高感度なセンサーと、ネットワークを介したクラウド情報管理を組み合わせた様々なセンサーシステムが提案されている。しかし、現状では小型化されているとはいえ、多くのセンサーは身体に接触・装着する必要があり、測定時にストレスを感じさせないカジュアルな生体情報センシングが強く求められていた。一部では電波やカメラを利用した非接触の生体センシングも提案されているが、接触型に比べてその精度には課題があった。

 これまで、京都大学のCenter of Innovation(COI)とパナソニック<6752>は、高感度なスペクトラム拡散レーダーをセンサーとして用い、独自の信号処理技術を組み合わせることによって、心電計と同程度の高感度な心拍/心拍間隔測定に取り組んできた。そして、今回、両者は共同で研究開発を行い、離れたところから非接触で高精度に心拍数および心拍間隔を計測できる生体情報センシング技術を開発した。

 この技術は高感度なスペクトラム拡散ミリ波レーダー技術と、特徴点ベースの心拍推定アルゴリズ3によって、心電計相当の精度で心拍間隔をリアルタイムに計測することができる。これにより、利用者が測定時にストレスを感じることのない、カジュアルな生体情報センシングを可能にする。

 人体の表面は呼吸や心臓の鼓動に応じて動く。このわずかな動きを、パナソニックのスペクトラム拡散ミリ波レーダー技術によって高感度に捉えるという。広帯域レーダーを用いることで測定範囲を限定し、心拍計測に影響を与えるノイズを除去することで、高感度測定を実現すると同時に、1台のレーダーで複数人の動きの同時計測を可能にした。計測されるレーダー信号の中には、心臓の鼓動、呼吸、体動などに起因する信号が含まれる。

 そして、京都大学はレーダー信号の中の心拍信号について位相特徴点を抽出し、特徴点の時系列パターンから心拍間隔を推定する独自のアルゴリズムを開発した。その結果、レーダー信号から呼吸信号、心拍信号を分離して、平均心拍数だけでなく、リアルイムで心拍間隔まで測定することが可能になったとしている。

 これらにより、ミリ波レーダーの電波は衣服等を透過するため、着衣時や就寝時に関わらず、呼吸や心拍を常時モニターすることが可能になるという。また、今回、心拍間隔をも正確に測定することが可能になったため、日常生活や仕事の作業を妨げることなく、心拍間隔変動から自律神経の状態を推定することも可能になった。この結果、家庭やオフィスでの人々の自然な健康状態やストレス状態などの測定が可能になり、この情報を用いた様々な新しい応用サービス・システムの展開が期待されるとしている。

 今後、試作機を用いた実証実験を通じて、実生活状態での生体情報のカジュアルセンシングを実現するとともに、得られた生体情報を用いた健康管理、アドバイス等のシステムに仕上げことを目指すとしている。(編集担当:慶尾六郎)