東芝、組み込みマイコン向け高速フラッシュメモリを開発

2013年02月05日 09:29

 1990年代前半に現在の仕様が登場して以降、応用分野が拡大しているNAND型フラッシュメモリ。近年は、組込みマイコンの高機能化と高速化にともない、内蔵するフラッシュメモリのアクセス速度がパフォーマンスに影響、さらなる高速化や大容量メモリ搭載のニーズが高まっている。

 こうした中、フラッシュメモリの発明者として業界をリードしてきた東芝<6502>は、独自にNAND型フラッシュメモリのセルデバイス技術をベースとした高速書き換えと、NOR型フラッシュメモリの回路技術をベースとした高速ランダムアクセスの2つの特長を融合したNANO FLASHを開発し、オリジナルコアマイコンをはじめ、ARMコア搭載マイコンまで幅広く利用してきた。その東芝が、組み込みマイコン向け高速フラッシュメモリ「NANO FLASH-100」を開発したと発表した。

 NANO FLASH-100は、業界トップクラスの100MHz動作クロック時のランダムアクセスでゼロウェイトを実現。この結果、ARMコア搭載マイコンなどで高速・大容量メモリが必要なアプリケーションにおいては、コアの持つ高いコード密度とすぐれたパフォーマンスを存分に発揮することができるという。さらに、超低消費電力技術と相まって、高速かつ低消費電力といったアプリケーションのニーズに幅広く対応可能なマイコン製品の開発が可能となっている。なお、NANO FLASH-100を搭載した製品は、TMPM440F10XBGを第一弾として、ARMコア搭載製品を中心に順次展開されるとのこと。

 コアとなる技術に関しては開発をリードすることの多い日本企業であるが、普及が進み低価格競争となった場合には他国企業に後れをとることが多い。低価格化は普及を加速させる重要な要因であり、それを避けることは現実的ではない。開発力だけではなく、その技術を守り開発者としての優位性を保つための防衛力も高まって行くことを期待したい。(編集担当:井畑学)