JTBグループのTPSは車いす利用者のための旅行セット商品の販売を開始した。この商品は首都圏エリアに自宅がある車いす利用者を対象に、自宅から宿泊施設へのジャンボタクシーを使った往復送迎、そして宿泊がセットになっている。ジャンボタクシーは乗車人数や荷物の多さ、車椅子の台数に合わせてサイズを選択可能。リフト付きジャンボタクシーもあるので女性のみの旅でも安心できる。
また、宿泊施設も車いす利用者が快適な設備があることが前提となっている。具体的にはエントランスから部屋まで車いすで移動できること。客室のお手洗いに手すりが設置され、車いすでも利用できること。寝具はベッドと布団から選べること。客室から食事会場まで車いすで移動でき、そのまま食事できるテーブル席が用意できること。部屋食を希望する場合はテーブル席、または和卓に高座いすを用意できること、などである。パンフレットには車いす利用時のイメージがしやすいように客室の間口の記載もある。ウェブや電話での問い合わせだけでは不安という人でも、あらかじめ旅行会社が選定した宿泊施設ならば安心して利用できるだろう。
各所でバリアフリー化が進んでいるとはいえ、車いす利用者にとって旅行は不安が尽きないものである。「車いすでも利用可」という説明がある施設でも同行者やスタッフの力を借りなければならない場所が多く、心苦しい思いをすることもあるようだ。移動も手間がかかるので目的地に着く前に疲れてしまう、と旅行自体を避ける傾向も見られる。そのような悩みを解決する商品が登場したことは車いす利用者本人にとってもその家族にとっても喜ばしいことだろう。車いす利用者でも、旅行を楽しみたいという気持ちは健常者と変わらない。高齢化社会が進行する現在、車いす利用者や家族のニーズは多様化してくだろう。そのようなニーズに応え、楽しみをサポートする取り組みが旅行業界に限らず拡大していくことが求められている。(編集担当:久保田雄城)